マラウイ プロジェクト最終報告会の実施をしました。

マラウイ「母と子の「最初の1000日」に配慮したコミュニティー栄養改善プロジェクト」最終報告会の実施をしました。

 マラウイ共和国において実施していた「母と子の「最初の1000日」に配慮したコミュニティー栄養改善プロジェクト」が2021年12月28日に終了を迎えました。プロジェクト終了に伴い11月下旬に、首都リロングウェの会場とオンラインにて最終報告会を開催しました。会場とオンラインを含め、マラウイ国保健省、ムジンバサウス県保健局、マニャムラ保健センター、国際協力機構(JICA)マラウイ事務所、JICA九州センター、国連開発計画(UNDP)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、ムズズ大学、京都大学、MA-SHEP、JICA海外協力隊など様々な関係機関の方々のご出席を賜り無事に終了することができました。

 報告会では、ISAPHの理事でもある聖マリア病院の浦部先生をはじめ、ISAPHマラウイ事務所の現地職員も発表を行いました。

 今回のプロジェクトは、ムジンバ県マニャムラ保健センター管轄下の村を対象とし、JICA草の根技術協力の枠組みを利用して2018年5月から2021年12月まで実施をしました。

 プロジェクトの目的は、対象地域の妊産婦・母親並びに5歳未満児の摂取する食の多様性を向上させ、さらに栄養状態も改善させることとしていました。

 本プロジェクトでは、フードセキュリティの観点から、多様な食物を「なぜ」食べられないのか?というところに焦点を当てて活動を構築してきました。例えば、ビタミンAを多く含む食品など、「そもそも地域で手に入らない」という課題や、また肉や魚など「地域で売っているが買えない」という問題に対しては、農業の面からアプローチをしました。マラウイの土地で育てることのできるビタミンAが豊富なニンジンやオレンジ色のサツマイモ、収入を増やすために換金作物であるニンニクなどの導入を行いました。また、「様々な調理方法を知らない(多様な食材の摂取につながらない)」という課題に対しては、新たに導入した作物の調理方法や村で手に入る食材で作れる新しいレシピの紹介を行うなど、栄養の側面からもアプローチを行いました。プロジェクト中に換金作物の栽培量を自発的に増やす農家や、調理実習では住民側で実際に徴するレシピを住民たちで決め、住民たち自身で材料を持ってくるなど、自発的に動く村人たちも見られました。

 報告会の際には、今回のプロジェクト期間中に実際に村で紹介したレシピを現地職員が会場で調理をして会議参加者へ試食として提供しました(ポリッジ、バナナ入りパンケーキ、お好み焼き、クリームシチュー)。どの料理も参加者からとても好評でした。

 今回のプロジェクト中には、COVID-19の流行があり、駐在していた日本人職員は一時的に本邦へ避難をしました。そのため、プロジェクト期間の半分近くを、日本人職員、現地職員が遠隔でコミュニケーションをとりながら活動を継続させていきました。(詳しくはこちら)

 今回のプロジェクトで得られた結果についてです。プロジェクト終盤の2021年8月にエンドライン調査を実施したところ、MDD(6ヶ月―2歳未満児の食の多様性を示す指標(詳細)のカットオフ値以上(7点満点中4点)の子供が30%→60.0%、MDD -W(妊産婦・母親の食品摂食品目の多様性を評価する指標)のカットオフ値以上(10点満点中5点)が59%→85.9%と、どちらも食の多様性がプロジェクト開始時よりも改善をしていました。

 また、それに伴い5歳未満児の発育阻害に関しても出現率が37.5%→25.0%へと低下していました。低栄養児を減らすために、食の多様性を上げるための活動を農業・栄養・保健のそれぞれの側面から行いましたが、その成果が出たのではないかと伺えます。

 本プロジェクトは終了となりましたが、今後もこの活動で得た知見等を活かし、幅広い地域で活動を展開していければと思っています。

ISAPHマラウイ事務所 山本 作真

浜中 咲子

集合写真

発表中の浦部医師

当日、会場横で調理をする職員たち