ラオスでの活動

ラオスでの活動

最新のラオスの活動ニュース

ラオス人民民主共和国

国旗

面積 240,000 ㎢
人口 約649万人
首都 ビエンチャン
民族 ラオ族(全人口の約半数以上)を含む計50民族
言語 ラオス語
宗教 仏教
産業 サービス業(GDPの約42%)、農業(約17%)、 工業(約29%)
一人あたりのGDP 2,472ドル
通貨 キープ(kip)
日本との時差 2時間

出典:「外務省 ラオス人民民主共和国

ラオスという国をご存知でしょうか。はじめて聞いたという方が多いでしょうか。また、最近では日本のテレビ番組でも取り上げられることも増え、名前だけは聞いたことがあるという方もいるかも知れません。

ラオスは東南アジアにありタイとベトナムの間に位置し、面積は日本の本州と同じ位の大きさですが、人口は千葉県と同程度であり、とても人口密度が低い国です。この国に訪れた方のなかには「昭和初期の日本を思い出し、どこか懐かしい気分になる」と評される方が多いです。

ラオスは後発開発途上国に位置づけられているものの、生活しているひとたちの表情はいつも笑顔にあふれており家族を大切にし、金銭や物に依存しない豊かさに、ときには憧れを抱くこともあります。流れる時間をゆったりと感じるのは、それはラオス人の国民性なのでしょうか、一年中温かい気候のせいでしょうか、あるいは可愛らしいラオス語のせいでしょうか、ひとによって見つける答えは様々です。

そんなラオスで生活していると「発展とはなにか?」、「幸福とはなにか?」と自分自身に問いかけることが一度はあるはずです。

このラオスについて、ほんのわずかですが紹介させて頂き、ぜひ足を運ぶきっかけになってくれたらと思います。あわせて、この国で活動している私たちにも興味を持って頂けたら幸いです。

ラオスの場所

ラオスへの主な行き方(飛行機)

日本からラオスへの直行便はありません(2020年6月1日現在)

日本→バンコク(タイ)→ビエンチャン【約8時間】
日本→ハノイ(ベトナム)→ビエンチャン【約7時間】

活動先 サイブートン郡

飛行機
日本→バンコク(タイ)→ナコンパノム(タイ)

バスとドイサン(トラックの荷台に乗車)
ナコンパノム→タケーク(ラオス)→サイブートン

サイブートン郡はラオスの中部に位置するため日本からは首都を経由しないほうが早くたどり着くことが出来ます。東西南北様々な方向からアクセスできるのが内陸国ならではの魅力です。

活動先 ラオス

「なぜラオスで10年以上活動しているのか?」

2005年、私たちはラオス中部のカムアン県セバンファイ郡において活動をスタートしました。対象地域の1地域は出生児76人中24人死亡という、異常に高い死亡率でした。様々な調査を行い、この原因をビタミンB1欠乏による小児脚気であると特定しました。栄養摂取の向上により、低体重児の低減と栄養不良による乳児死亡の低減に取り組んだ結果、開始当初23%もあった乳児の低体重児率が8%にまで減少し、ビタミンB1欠乏症による乳児死亡が殆ど無くなりました。

この成果を通して、ラオス政府とISAPHの間に厚い信頼関係が生まれ、他地域への母子保健の医療向上を求められ、2016年4月より現在のサイブートン郡において活動をしています。

ISAPHの設立母体である聖マリア病院を訪問されたナオ・ブッター氏(中央)

カムアン県

カムアン県とは

カムアン県タケークに私たちのラオス事務所があります。このタケークは首都ビエンチャンから南に約200kmに位置します。ラオスの南北を繋ぐ国道13号線と、東西のタイとベトナムを結ぶ国道12号線が交差するため人が行き交う大変活気にあふれた街です。

また、全長7.4kmのコンロー洞窟を始め、自然豊かな観光地がカムアン県に多数あるため街中で欧米人の観光客を見ない日はありません。

このタケークはメコン川沿いにあり対岸にはタイのナコンパノムがあります。このナコンパノムは先進国並みに物が溢れているため、タケークで商店を営む人たちの多くはよく買い付けに行きます。

活動先 サイブートン郡の衣・食・住

ラオスの伝統的な衣服のひとつにシン(巻きスカート)というものがあります。ラオスの女性のほとんどはシンを身に着けており、街中でよく見かけます。

同じ柄のシンに二度と出会うことはないと思うほど色や柄は多岐にわたります。それは地域や多様な民族によって使われる模様や色が異なり、一枚一枚手織りで作られている点にあります。

普段履くシンはコットン生地を、お祝い事など特別な日にはシルクの生地と履き分ける方もいます。

サイブートンに住んでいるひとたちのほとんどは稲作農家のため主食はもち米です。それ以外の野菜やお肉などは地元のタラート(市場)で購入します。一般のおうちでよく食べられているのが「ケンノーマイ」と呼ばれるタケノコのスープ。これはタケノコと唐辛子と香草、パデーク(魚醤)で作られた料理です。

食事の時間は家族で食卓を囲います。

「日本人はひとりでご飯を食べてることも多いよ」というと「寂しいなぁ。みんなで食べたほうが楽しいよ!」といわれ、食事によく誘われるようになります。

サイブートン郡には木造高床式の住居がまだまだ多数点在しています。1年間で最も暑い4月には平均気温が40度を超えるため、裸足で木の床を歩くと、心地の良い冷たさが足に伝わってきます。目を瞑ると風にそよぐ木々の音に包まれ、まるで自然の一部になったかのような別世界を味わうことも出来ます。

一階部分は仕事の作業場や物置にしたりと有意義に使っています。

多くの家庭には洗濯機、冷蔵庫はありません。そのため、朝の早い時間には家族で洗濯物を手洗いしている姿を見ることができます。一方で、携帯電話の普及はしており、タケークにいながらも連絡を取り合うことが可能なのです。

サイブートン道路はまだ未舗装なため雨の多い雨季には川のようになり道を塞ぐことも日常茶飯事です。

ラオスの母子保健課題とISAPHの支援のあり方

ラオスの公的な保健医療サービスの構造

 ラオスの公的な保健医療の仕組みは、図1のようなピラミッド構造になっています。

 上から順番に、国全体の保健行政を統括する「保健省」、そしてISAPHと交流のあるマホソット病院を含む5か所の「国立病院」が専門的な保健医療サービスを提供しています。ラオスには17の県とその下におよそ150の郡があります。

 それぞれの県に「県保健局」および「県病院」、それぞれの郡に「郡保健局」と「郡病院」があり、保健行政機関・医療サービス提供機関として機能しています。その下の地区レベルになると、「ヘルスセンター」のみになりますが、これが住民にとって一番身近な保健医療機関として保健医療サービスを提供しています。

 村レベルになると、公的な医療サービスを提供する施設は無くなりますが、各村には「ビレッジヘルスボランティア」がおり、住民と医療機関を繋ぐ架け橋として活躍しています。一部、極度の遠隔地には、有給の「保健ワーカー」が派遣されている場合もあります。

図1:ラオスの公的な保健医療の仕組み

母子保健指標

 次にラオスの保健指標を見てみましょう(図2)。出生時における平均寿命は日本が約85歳であるのに対し、ラオスは約65歳であり、約20歳の差があります。5歳未満児死亡率は1,000出生あたり、日本が3人に対して、ラオスが63人です。1歳未満死亡率は1,000出生あたり日本が1.7人に対して、ラオスが49人です。妊産婦死亡比(妊娠・出産に関連した死亡)については、100,000出生あたり日本はわずか5人ですが、ラオスでは185人発生していると報告されています。

 続いて、子どもの死亡に深く関連する要因の一つとして「低栄養」の問題も考えてみましょう。ラオス政府の発表によると、5歳未満児の代表的な栄養指標は、発育阻害(stunting)33.0%、消耗症(wasting)9.0%、低体重(underweight)21.1%となっており、改善の傾向にあります。しかし、近隣諸国と比較するといまだ十分な改善がなされておらず、今後も支援が必要とされています(Lao Social Indicator Survey II, 2017)。

図2:ラオスと日本の保健指標の比較(出典:WHO,Unisef,World Bank)

ラオス政府の母子保健戦略

 ラオス政府は母子保健戦略「第8次保健セクター開発5ヶ年計画HSDP (2016-2020年)」と「2025年にむけての保健セクター・リフォーム:戦略とフレームワーク」において、「基礎的保健医療サービスを改善・拡大し、すべての人への保健医療サービスのアクセスの保障」を目標としています。具体的には、ラオス政府の保健戦略の一環として、2013年以降は施設分娩の無料化や5歳未満児の医療費の無料化が実施されており、経済的な原因による保健医療サービスへのアクセス困難の問題を解消しようと取り組んでいます。

 また、受けることができる医療の質についても、日本からはJICAが「保健医療サービスの質の改善プロジェクト」による医療従事者の質の向上の取り組みなどを行ってきました。このようにラオス政府は、各国ODAをはじめとした支援団体と協力し、政府が提供する母子保健サービスを向上させて、母と子の命と健康を守ろうとしています。

母と子の健康を妨げる要因 ~現場のリアル~

 ラオスの保健医療の仕組みや課題、母と子が基礎的な保健医療サービスを必要な時に負担可能な費用で受けられるための政策について説明しました。しかし、実際に住民の行動に目を向けて、声に耳を傾けてみると、新しい制度が始まり、保健医療サービスが改善したからと言っても、必ずしも住民が保健医療サービスを利用できるわけではないようです。

 なぜでしょうかなぜでしょうか。それは、病院に行くまでの費用が無いことや地理的に病院が遠いこと、これまでの病院に頼らなくても生活ができているという経験、そして社会的な慣習により公的保健医療サービスより伝統医療を選ぶなどといった理由が挙げられます。

 そうです、保健医療が抱える問題の解決には、サービス提供者側(保健医療制度や医療の質)の改善だけではなく、住民がそのようなサービスによって「自分の健康を守ることができる」という認識を育んだり、そのサービスを受けなくても良いように自分の生活をより健康的に改善していくという姿勢なども大切になってきます。

母と子の健康を改善するためにISAPHが支援すること

支援の方向性

 ISAPHは、住民が健康について自ら考え行動ができるようになることがより重要だと考えています。

 まずは病気にならないように健康的な生活を送ること(1次予防)、そして病気の早期発見や早期治療のために、保健医療サービスを適切に利用すること(2次予防)が大切だと考えています。例えば、セバンファイ郡の乳児のビタミンB1欠乏の事例では、サプリメントの供給だけでなく妊産婦と5歳児未満の子を持つ母に対して、栄養バランスを考えた食生活の重要性を伝え、住民の行動が変わることで問題解決を図ることができました。

 ISAPHは住民が自分で健康について考え、栄養バランスに配慮した食生活を身につけ、必要なときに保健医療サービスへアクセスするという住民の健康希求行動を強化することで、私たちの支援がなくなっても、住民が持続的に健康で暮らすことができると考えています。

【具体的な支援1】母と子の健康問題を予防し、早期に発見するため保健医療サービスを利用できるようになる

 私たちの活動している地域の住民は、サイブートン郡保健局・病院、ヘルスセンターの職員が村に訪れておこなっているアウトリーチ活動(産前健診/産後健診、予防接種、成長モニタリング、家族計画、健康教育等)や施設分娩等の保健医療サービスを利用している割合が少ない傾向にあります。その結果、住民が正しい知識を持ち、適切に行動することができれば避けられる病気にも罹っている現状があるのです。例えば、乳児死亡率の高い原因としてあげられる新生児期の死亡、肺炎、下痢などは、予防できれば避けられるとされています。ISAPHは、保健医療サービスを利用することによって得られる機会の損失を埋めるため以下のことに取り組む予定です。

・母と子が母子保健サービスにアクセスする際の障害要因を明らかにし、できる限り障害要因を軽減する

・母と子が母子保健サービスを受療することで得られる価値(ベネフィット)や効用(心理的な満足感)を高める

・サイブートン郡の住民と保健局・病院のスタッフとの間に信頼関係を築く

上記の戦略の下、住民が健康について自ら考え行動し、必要な時に保健医療サービスを利用できるように支援したいと考えています。

【具体的な支援2】健康な状態を維持するため、必要な栄養素を摂取できるようになる

➀栄養バランスを考慮した食生活

 ISAPHが活動している農村部では、子どもたちの低栄養の問題があります。その原因は、子どもたちにどの時期に何を与えたらいいのか、または与えてはいけないのかといった栄養に関する基本的な知識が住民に行き渡っていないことです。その結果、栄養バランスに気をつけた食生活をすれば予防できるはずの病気(下痢、肺炎等)に罹っている現状があるのです。

 住民の生活習慣を変えるためには、知識を一方的に伝えるだけでは意味がなく、子どもたちの栄養状態に関心を持ち、行動を変えることが大切です。そのためには、適切なタイミングで適切な食材を手に入れる環境とともに、母親(養育者)が健康的な食生活を身につけることが欠かせません。

②必要な栄養素を含んだ食品にアクセスする。

 ISAPHの母子保健活動により住民が栄養の大切さを認識できたことで、子どもたちに良質なたんぱく質や不足している脂質などを補う食べ物を食べさせたいという考えになっても、適切な食品に適切なタイミングでアクセスできない問題があります。このボトルネックを解消する手立てとして、住民の生活に目を向けたところ、ラオスの昆虫食文化と村落開発基金に解決の糸口を見出しました。住民が、食用昆虫の養殖技術を身につけ自ら育てて食し、年間を通して必要な栄養素を摂取し続けることができます。

 また、村落開発基金により得た現金収入を利用することで、適切な食品を購入することが可能となります。誰もが健康になりたいという健康希求行動を促進させ、栄養状態の改善を目指します。

現地パートナーから

パークワイドン村村長 シエントム氏

人々を啓発することは容易でないのが現実です。
一部の村人は、開発計画に無関心です。

妊婦に対し健診を受けるように促すと、本人やその家族から不機嫌な言動であしらわれることもあります。それでも、住民の健康を向上させ、事業の目的を達成するために、今後もご協力いただきたいです。

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