JICA草の根事業「生き生き健康村づくりプロジェクト」に従事して1年

私は2008年4月よりISAPHラオス事務所に勤務する看護師・保健師の岩田和子と  申します。ISAPHに所属する前にもラオスで青年海外協力隊員やJICAプロジェクト  で看護技術や管理業務についての技術移転活動をしてきたのですが、ラオスの地方の  保健医療状況について知らなかった面もあり、戸惑うことも多々ありました。   2009年1月からJICA草の根事業が始まり、新しいプロジェクトではありますが、  対象地域を1つにしぼり、もともとISAPHが実施してきた活動に加え、集中して栄養・  衛生・乳幼児の育て方に関する住民の知識を底上げするための活動実施を主としています。   プロジェクト開始に伴い、これまでの既存のデータとともに詳細な保健情報収集が必要  となり日本人専門家による保健衛生の状況や、育児、寄生虫の感染率、対象地区の井戸水  の調査が実施されました。これらの調査により、対象村での健康面での問題点がより  明確になり、その対策や活動の計画を立てやすくなりました。
 

平行して、対象村には井戸が極端に少なかったので、住民と会議を持ち井戸の  設置について話し合いました。その後、業者による井戸の掘削の工事が始まり、  およそ半年かけて12箇所の深井戸が完成しました。12箇所完成させるために11箇所  が掘り損じとなり、深井戸の掘削がいかに難しいものかを思い知らされました。  井戸の設置場所についても、住民同士の利害が絡み、設置場所の変更を余儀なくされ  た際、了承会議の席で、怒って帰ってしまう住民もあり、ISAPHの活動にどう影響  するか心配されましたが、井戸が完成すると村のあちこちで水汲みをしている笑顔の  住民に出会いました。

ISAPHではこれまでにも毎月対象村において、郡保健局職員中心で実施する乳幼児  の身体測定、妊産婦の健診、予防接種、家族計画、巡回診療活動をサポートしてきま  したが、これからはそれに加え基本的な保健衛生や、栄養、育児などについての教育  活動を更に活発化させる予定です。  これまでは日本人職員が村を訪れた時、住民に挨拶しても逃げ出したり、返事が  なかったことも良くありましたが、現在では挨拶も返ってくるし、向こうから声を  掛けてくれる人も現れるようになりました。   少しづつですが活動に参加する人たちや協力してくれる人たちも増えてきています。  プロジェクト実施期間は3年ですが、対象村では農業を中心とした昔ながらの生活が  営まれているのと同時に風習が重んじられ、迷信までも信じられており、経済的な  問題もあるため、いきなり近代の習慣は受け入れられにくい状況です。   JICAから予算支援を受けながら、ISAPHの皆さんや聖マリア病院の関係者の方々に  協力してもらいながら、現地の人々と楽しく、息の長い活動ができたら良いなと  思っております。   今後とも皆様の温かいご支援、ご指導をよろしくお願い申し上げます。

対象村の住民への健康教育活動
支援した井戸で水汲みする住民

ISAPH LAOS 岩田 和子