「『自分の健康は自分で守る』住民による栄養改善活動の自立支援事業」活動報告

ISAPHマラウイ 山本 作真

 ISAPHマラウイは2024年度、公益財団法人 風に立つライオン基金よりご支援いただき、「『自分の健康は自分で守る』住民による栄養改善活動の自立支援事業」を実施しました。今回は、その事業の結果をお知らせいたします。

 マラウイでは、飢饉のような食糧不足は起きていませんが、日常的な栄養素の偏りが原因で、5歳未満児の4割近くが発育阻害に陥っています。現地の幼児が主に食べているのは、トウモロコシ粉末を練った、おかゆの様な《ポリッジ》。お腹いっぱいにはなる食べ物ですが、摂取するのは糖質ばかりになってしまいます。

 これまでISAPHマラウイは、ムジンバ県南部で母子の栄養改善に取り組んできました。2018〜21年に実施したJICA草の根技術協力事業「母と子の『最初の1000日』に配慮したコミュニティー栄養改善プロジェクト」では、保健・栄養に加え、食料生産・生計・調理なども改善を試み、4割近かった発育阻害児が終了時には25%に減少しました。

トウモロコシの粉を水分で薄めて子どもに飲ませる母親。これでは糖質しか摂れず、その他の栄養素を賄えない

 特に効果が高かったと思われるのが、これまでマラウイ政府なども推進していた前述の《ポリッジ》の改良版レシピを、ISAPHなりに普及しやすい内容・手段で紹介することでした。マラウイ人は新しい料理に対してとても保守的と感じますが、元々あった《ポリッジ》に、炒った大豆や落花生の粉末、すり潰した葉野菜、卵、小魚の粉末など、農村で入手可能な追加の具材を入れることには、抵抗が少ないようです。トウモロコシ自体も、皮を削った真っ白な粉から、ビタミン・ミネラルが残った全粒粉に替えるだけなら、コストなしで誰でもできる改善でした。

 現地では、身体測定や予防接種などのため、農村でも乳幼児健診が毎月開かれており、その会場で《ポリッジ》の調理実習・試食を始めました。前述のJICA事業終了後も活動を継続し、実習に必要な材料は、すべて参加住民が分担して持ち寄っています。この「持ち寄り」は、近隣・職場・親戚などで少額現金などを出し合い備える、東アフリカの習慣とマッチしたと考えられます。

《ポリッジ》調理実習の様子。材料や燃料、道具はすべて参加者が「その時に用意できるもの」を持ち寄る

 前述の通り、2024年度は風に立つライオン基金よりご支援いただき、「『自分の健康は自分で守る』住民による栄養改善活動の自立支援事業」を県内エンディンデニ地域(人口約2万人)で実施しました。

 元々、隣接地域で成功例がありましたが、調理手順も風味も元々の食文化に馴染み、入手の容易な食材だけを使うレシピは受け入れられやすく、実習だけで終わらず日々作り続けてもらえる可能性が高くなります。栄養以前に、実際に食べるとトウモロコシだけの《ポリッジ》より、炒った豆が香ばしい改良レシピの方が風味も良く、なかなか食事を口にしてくれず悩んでいた我が子が喜んで食べる姿を目の当たりにすると、家でも続けようと思ってもらえるようです。

 ご支援いただきました公益財団法人 風に立つライオン基金には、深く御礼申し上げます。

 今年2025年4月からは、ISAPHの母体となった雪の聖母会が主体となり、3回目となるJICA草の根技術協力事業が新たに始まります。今回の成果と得られた学びを携えつつ、今度は3つの地域(合計人口5万人)で栄養改善事業を展開し、事業後半にはムジンバ県南部全域への展開を見据えた活動も計画しています。ISAPHもこれを援護していきたいと考えています。

美味しいレシピで作ると、子どもはちゃんと食べてくれて、保護者は「家でもやってみようかな」と思う