まず、タイトルをみて内心穏やかでなくなった方も多いのではないでしょうか。とはいえ、イナゴの佃煮など日本にも昆虫を食べる文化はありますし、現在、世界で20億人もの人たちが、2,000種類の昆虫を食べていると言われています。そして、私たちが活動するラオスにおいても、昆虫は日常的に食べられている「食材」の一つです。
AINプログラムよりご支援をいただき行っている栄養事業の活動の一つに、食用昆虫をテーマにした食料の安定供給の仕組みを作ることがあります。この取り組みはISAPHにとっても初めての試みとなりますので、本活動に関しては食用昆虫の専門家から協力を得るようにしています。この度は、日本の食用昆虫科学研究会(https://e-ism.jimdo.com/)の理事長、佐伯真二郎先生に実際にラオスに来ていただき、活動についてご支援をいただきました。
まず先生が気にされたのは、市場にどんな昆虫が売られているか。お昼に市場に行きましたが、昆虫は売り切れていたので翌朝6時に再び市場に行きました。カエルやバッタ、コオロギやヤゴ(トンボの幼生)やタニシなどが売られていて、それらは深夜や早朝に住民が畑や森で採ってきたものだそうです。しかし、全ての人が市場で昆虫を買って食べるわけではないようでした。次に、現地の人々がどんな昆虫をどのように食べているかを知るために、ISAPHの活動村に足を運びました。村には虫を捕るための罠を設置している家もあり、そこで話を聞くと、「この虫はクリーミーで美味しい」、「この虫はいつも炒って食べるよ」、「この虫は今の時期は卵があって美味しいね」、「この虫は食べられないよ」と昆虫を食べるための知識がとても豊富なことに驚かされました。村人は日頃から昆虫を食べていて、親から食べられるものと食べられないものを教わってきたそうです。もしかすると、私たち日本人も昔はそういう知識を持っていたのではないでしょうか。開発が進むにつれてスーパーで買い物をするのが当たり前になり、これらの知識が廃れていったのかもしれません。そう考えると、ラオスはまさに、昆虫食先進国でした。
FAO(Food and Agriculture Organization of the United Nations)も、昆虫は食料供給の側面だけでなく、栄養価の面からも重要な食料であることを伝えています。ラオスにおいてはメコン川によって魚も豊富ですが、昆虫も色々な種類を食べていることが分かりました。しかし、問題がないわけではありません。これらの自然の食材は収穫も自然に任せる必要があるのです。たとえ食べたくて罠を仕掛けても、全く採れない日もあり、安定して供給することが難しいという現状があります。そこで佐伯先生から、昆虫を安定して食べるために、鶏や豚のように養殖をすることで彼らの食卓を強化する方策をご提案いただきました。ISAPHでは、これから住民の安定した昆虫食を支援するため、養殖事業にも力を入れていく予定です。事業の経過については適宜報告していきますので、どうぞ楽しみにお待ちください。
ISAPH LAOS 佐藤 優
市場に行くと、魚などの食材と一緒に
昆虫が売られている
昆虫の試食をする佐伯先生
木の食器に盛ってみると、
意外とおしゃれな料理に見える!?
昆虫の意外な活用方法、佐伯先生手作りの
バッタの糞を使った染め物