ラオスでの生活、農村部での活動を通し感じたこと

サバイディー!

ラオスに赴任してから早くも4ヶ月が経ちました。ラオスでの日常生活は、海外にいるとは感じないほど穏やかに過ごせています。週に一度市場に買い物に行き、料理をして、休みの日には洗濯をしてカフェに行く。決して特別ではないですが、何かと比べることもなく、心にも体にも贅沢な暮らしをしていると感じます。このナチュラルな生活が、ある意味幸せなのではないかと感じるほどです。

ラオス農村部の活動では、地域の特性やニーズに応じて住民が自分の健康を主体的に促進していくことを目指した、ヘルスプロモーションに取り組んでおります。しかし、農村部住民の生活や健康に対する考えや行動に触れるほど、住民の健康行動に対する認識や意識の違いを感じるとともに、住民にとって今まで過ごしてきた当たり前の生活を「変える」ことへの難しさを感じます。

皆さんも小さいころは、異なる価値観や習慣に触れる機会が限られる環境で育ち、自宅で起こることが全てでありそれが当たり前であったと思います。しかし、学校という新しいコミュニティに入り違う世界を知ったときに、自分の当たり前はそうではないことを学び、驚きや恥ずかしさを経験した人もいると思います。しかし、この過程や変化があったからこそ、大多数が自分と違ったときに「間違っている」と気づき、自分が大多数であれば「正しい」と気づく。そして、誰かがそれでも良いと教えてくれたら「どちらも正しい」のだと学んでいったと思います。こうしたことから、様々な環境に触れ情報が流入する環境では、体験や評価をもって気づき、違いを知り、比べ、何が良いかを判断し、選択することができるのではないかと感じます。

一方で、生まれた時から村という一つの大きな家族の中で育った環境では、手に入る情報も限られ、選ぶ余地もなく、何かを正しいと判断したり、一般的に良いとされていることに価値を置いたりすることも少ないのではないかと感じます。そのため、農村部では健康への認識への違いがあり、それが根付いている文化や習慣を変えることの難しさがあり、だからこそ個々だけでなく地域、コミュニティ全体への働きかけがとても重要であると感じています。

ISAPHでは、住民が自ら健康を守っていけるよう、カウンターパート、現地の医療スタッフ、村落保健ボランティアと協働しながら、住民の行動や気持ちに働きかけ、自ら望ましい選択が出来るような支援を行っております。実際に農村部では、施設分娩が当たり前だと認識し施設分娩を選択した家族、妊婦健診や成長モニタリングの重要性に気づき毎月参加する母子など、母子保健指標の改善も見られており、活動の意義を感じております。

依然として保健指標や住民の健康行動への課題は多くあり、ロジカルに考えた戦略的な解決策の開発が求められておりますが、その中で、何かを「伝える」「教える」だけではなく、フィードバックを通して住民の認識や意識、価値観を高めることや、医療者の保健サービスの質を向上し住民と医療者の信頼関係を強めることも大切にし、ヘルスアクセス向上や行動変容へつながるような持続性のある活動を推進していきたいと考えています。

 

ISAPHラオス事務所 三浦 夕季

アウトリーチ活動で産後健診のため自宅訪問をしたご家族と。

みんなで支えあって母子を支えます。

豪雨でもアウトリーチ活動は続行です。PHO,DHO,HCのスタッフと。

Nahee 村での一枚。ISAPHチーム、DHO、HCスタッフ、村落保健ボランティアの方々と連携し、住民の母子の健康を守っています。