インターン終了報告

ISAPHインターン報告

2023年の10月から2024年の2月までの約5か月間、インターンとしてISAPH東京事務所にて働かせていただきました、矢代直輝と申します。期間中、主に担当させていただいたのは広報業務ですが、それだけでなく申請書作成のお手伝いや、自身が企画したインタビュー動画の作成、さらには佐藤事務局長のご厚意で参加させていただいた調査業務のお手伝いなど、様々な経験を積ませていただきました。このインターンの経験から私が何を感じ・考え・学んだのかをご報告させていただきます。

 

 今回のインターンで最も印象的であったのは、現場での活動が多くの業務に下支えされていると気が付けた点です。私は大学で国際協力に関する様々な側面を学ぶゼミに所属しており、インターンをさせていただくにあたってそこでの知識は活用できるだろうと考えていました。実際、ISAPHでインターンをさせていただいている間にも、要所々々でそうした知識が活かせる、もしくは学習した授業内容と同じような場面には幾度も出くわしました。

しかし、実際に働かせていただいて感じたことは、そうした学習を経て得た知識は本当に一つの側面でしかないということでした。というのも、普段の業務を経験・見学させていただく中で、国際協力の業務に携わるということはただ現場で社会問題に取り組むだけでなく、同時に現場の活動を可能にするための様々な業務を進めなくてはならないと実感したからです。例えば、現地での活動を行うにあたって、国や地域との正式な手続きを踏み、活動資金を得るために申請書を作成し、その申請の根拠となるデータを集めなくてはなりません。それだけでなく、活動を支えてくださる支援者の皆さんへの情報発信も必要不可欠であり、そうした支援の輪を広げるためにスタッフ自ら外へ出向き外部との交流をすることも重要になります。こうした多種多様な業務と並行しながら、現場での問題を解決しなくてはならないというのは、今まで文献やケーススタディで学んできた国際協力像とは全く異なるものでした。現場で働くための土台・環境づくりも含めた国際協力全体をインターンを通じて直接感じ取れたことは、今回のインターンで得られた大きな収穫の一つです。

 

 もう一つ、インターンから獲得した知見として、「地域住民を知る」ことが非常に難しく時間のかかることなのだと学びました。これは、私自身が企画したインタビュー動画の作成に際して考えさせられたことです。当初私は、インタビューを通じて地域住民の様々な声を聴くことで、よい点が見つかれば地域住民のエンパワメントの材料へ、課題点が見つかればISAPHの活動の改善へ、それぞれつなげることができないかと考え、この企画を行いました。ですが、当初の自分の考えが安易であったことにインタビューを作成している間、そして完成後のミーティングなどで思い知らされました。

相手を深く知るためには多くの壁が存在していたのです。その一つが見栄です。普段の私たちは周りから非難されそうなことをあえて周囲の人に見せようとしません。むしろ、良くないとされる部分を隠し、表面上は取り繕って見栄をはるということが往々にしてあります。そうした可能性が地域住民へのインタビューにも含まれているのです。私たちと同じように質問に対して、理想的と思われる回答を彼らがしてしまうこともあるのです。そうした可能性に企画開始当初は気が付けていませんでした。もう一つの壁は言語の壁です。今回のインタビューでは現地スタッフの協力のもと、英語で作成した質問内容を現地語のラオ語に翻訳し現地住民に質問をしていました。企画案を出したときにはこれで十分な調査ができると考えていたのですが、実際には通訳をはさんでいるため地域の方々が話す言葉がどのようなニュアンスを含んでいるのかを把握することができませんでした。また、翻訳を通じた会話は一対一の対話よりも時間がかかってしまうため、気になったことを深堀する時間が無くなってしまう点でも真に迫るインタビューの壁となってしまいました。これらのような壁を想定せず、単なるインタビューだけで地域住民の本当の姿を明らかにしようとしていた自分の未熟さ、そして本当の意味で「地域住民を知る」ことが一筋縄ではいかないことなのだと、今回の企画を通して気付くことができました。

 

 以上のことに限らず、インターンを通じて自分の視野を広げる様々な経験をさせていただき、そこから得られたことも一言では言い表せない、そんなとても贅沢な5か月間でした。改めて、国際協力や国際保健という分野に関して知識も経験も未熟な私をインターンとして受け入れてくださったこと、丁寧に業務内容や疑問点を教えてくださったこと、さらに自分の意識を刺激するような数々の話を聞かせてくださったこと、それら全てに対してISAPHの皆さん並びに関係者の皆さんに感謝申し上げます。本当にありがとうございました。私自身の将来のビジョンは未だ明確に見えているわけではありませんが、今回のインターンの経験や知見を思い返しつつ、自分なりに社会問題に取り組んでいけるよう精進していきたいと思います。そうした成長を積み重ね、いつになるかはわかりませんが、お世話になったISAPHの皆さんに何かしらの形で協力・還元ができればと思います!

 

矢代 直輝

東京事務所での勤務の様子