コロナ禍における遠隔によるプロジェクト経過~かめのり財団助成金による事業報告~

こんにちは。ISAPHラオス事務所の安東です。

新型コロナウイルス感染症によって、私たちが日本に退避してから1年が過ぎました。この1年を振り返ると共に、このような状況の中においても多くの方々の支援を受けてプロジェクトを止めることなく実施できたことについて、改めて感謝申し上げます。

私は公衆衛生の専門性を活かして、対象村の住民一人ひとりが自分の健康の価値に気づき、予防できる病気や出産に関連した合併症などから自らを守っていけるように、人と地域を育てることを目指して活動しています。その一環として、ISAPHラオス事務所は現地のカウンターパートと連携して、ラオスの農村部における母と子の保健サービスがより一人ひとりにいきわたるようにアウトリーチ活動を支援してきました。その結果、これまで沢山の地域で母親が健やかな妊娠と安全な出産、そして健康に子どもを育てるために保健サービスの利用率が向上してきました。

しかし、2020年3月に新型コロナウイルス感染症の拡大に関連して、私たちは日本に緊急退避しなければならない事態に至りました。2020年10月からは、遠隔の状況下で、新しい地域に私たちの活動を広げる計画であったことから、日本から上手くできるだろうかという不安をとても感じていました。そのような中、2020年7月に、公益財団法人かめのり財団様(以前「かめのり賞」を授与していただきました)より、コロナ禍における支援として「緊急支援プロジェクト助成」をいただくことができました(https://kamenori.jp/2020kinkyujyosei.html)。コロナによる昨年の帰国はとても急なことでしたから、遠隔でプロジェクトを行う体制を整える時間も資金も十分ではありませんでした。ですので、この助成のおかげで、現地からの報告や交信もスムーズに行う体制を整えることができ2020年10月に無事に新しいMOU(了解覚書)を調印し、プロジェクトを開始することができました。もちろん、昨年末には現地に渡航することができればよいなと思いながら務めていましたが、残念なことに変異株の出現などもあり最終的には2020年度に渡航することは叶いませんでした。それでも、現地人材を新しく雇用し、活動や報告のための資金を助成いただけたことに心より感謝しております。

 さて、肝心の事業成果についてはまだ途中ではありますが、妊婦健診の受診率や施設分娩率が向上するなど少しずつ、光が見え始めています。当初、私たちは「母と子の健康を守るために母子保健サービスを利用しないのは、住民に正しい知識や意識がないからだ」という理由から、教育・啓発活動によって母子保健サービスを利用するように促していました。しかし、現地職員を通じて、住民の想いを聞くうちに保健サービスを利用せずに自分で考え対処したほうが「心地よい」という気持ちがあることが分かりました。もちろん、すべての人ではありませんが、逆にすべての人が同じ理由で保健サービスを利用しないわけではないため、私たちの活動はより住民のニーズに合わせて形を変えながら、一人ひとりに「届く」ものにしていく必要性に気づくことができました。この事業は、あと2年半続きますから、かめのり財団様より支援していただいたこの土台を有効に活用して、現地の母と子が一人でも多く「自分の健康を自分で守る力」を引き出し、必要な時に安心・安全な保健サービスがいつでも利用できるような地域社会を創るお手伝いができるように尽力していきたいと思います!

改めまして、かめのり財団様、この度は私たちの事業にご支援をいただき本当にありがとうございました。

健やかなる成長の子と母

健康教育の様子

産後健診の様子

ISAPHラオス 安東 久雄