ラオス かめのり財団緊急支援プロジェクト助成金の授与および活動の進捗報告

2020年8月より、かめのり財団緊急支援プロジェクト助成を受けて、ラオス国カムアン県サイブートン郡ナノーイトンヘルスセンターが管轄する10村(人口3000人規模)で「子どもを守る、母と家族の母子保健サービス利用促進事業」を展開しています。

今回の助成は第11回~13回かめのり賞顕彰者を対象とした限定公募で、選考の上、助成を受けております。助成金の授与に預かり、かめのり財団の皆様のご支援に感謝申し上げます。また、この場をお借りして、かめのり財団の助成を受けた事業の進捗報告をさせて頂きます。

助成事業の進捗状況① ナノーイトンヘルスセンターの母子保健サービスのモニタリング

新型コロナウイルス感染症が世界的流行を見せ始めた2020年3月、日本人職員は安全のため帰国しました。そして、10月現在、私たちはラオスに渡航できていないため、現地のヘルスセンター職員に対して、技術的な援助をすることは難しい状況です。従って、私たちはISAPHのラオス人職員と連携を図り、カウンターパートであるナノーイトンヘルスセンターの母子保健サービスのモニタリングを行いました。

ヘルスセンターには常勤の助産師がおり、昼夜問わず、安全な妊娠・出産を支援するに足る設備や人的資源があることがわかりました。さらに、彼女たちは定期的に各村にアウトリーチ活動を行い、予防接種や妊婦健診、子どもの身長・体重測定を行っていることがわかりましたが、人員と予算の関係でアウトリーチ活動を実施できない月もあるそうです。

今後は、アウトリーチ活動の予算支援を行い、安定して母子保健サービスを各村に届けられるように調整していきたいと考えています。

ナノーイトンヘルスセンターの様子

アウトリーチ活動(予防接種)の様子

事業の進捗状況② 住民の母子保健サービスの利用に関するインタビュー調査

また、私たちは、村の母親を対象に母子保健サービスの利用状況および母子保健サービス利用に与える促進要因・障害要因に関する聞き取り調査を実施しました。

これまでわかってきたことは、妊婦健診受診率、施設分娩率に関して、保健センターのスタッフから集めた情報とお母さんたちから集めた情報で大きな誤差があることがわかりました。具体的には妊産婦健診を4回以上受診したと回答した母親が約79%だったのに対し、保健センターの職員が把握していのはわずか25%だけでした。また約50%のお母さんが施設分娩をしたと回答したのに対して、保健センターの職員が把握できていたのは 19%でした。

ラオスには住民台帳というものが存在しないので、ヘルスセンターは自分たちのところで妊婦健診や施設分娩をした村人のことは把握できても、郡病院や県病院で妊婦健診、出産した村人の状況は把握できておりません。村毎に妊産婦や5歳未満児の登録台帳を作り、ヘルスセンターが住民の母子保健利用状況をしっかり把握できる基盤作りを始めたいと思います。

ISAPHローカルスタッフ(ビライワン職員)の
インタビュー調査の様子

ISAPHローカルスタッフ(パイワン職員)の
インタビュー調査の様子

ISAPHラオス 安東 久雄