本邦研修の学びと小学生の思いをマラウイへ

ISAPHでは1月下旬にマラウイ人を日本に招聘し、本邦研修を実施しました。日本における母子保健や栄養改善の取り組みについて学び、マラウイの保健医療の向上や現プロジェクトに還元することを目的とし、マラウイでのプロジェクトタスクフォースメンバーから3名を招聘しました(県保健局長、同局公衆衛生部長、県庁栄養HIV/AIDS担当職員)。

マラウイでは約4割の5歳未満児が低栄養と言われていますが、低栄養となる原因は様々です。例えば、月齢に合わせた離乳食の考え方もなく、主食であるトウモロコシ粉を薄めたもののみを与えており栄養が偏りがちです。妊婦健診に毎回参加しないこともあり、出産や育児の知識を得る機会が少なく、自宅出産も多いです。小学校や中学校を中退することもあるため、栄養に対する知識が少ないまま母親になることもあります。また、食事タブーの迷信があり、必要な栄養素をとれていないこともあります。近年少しずつ多様な食材が市場に出回るようになりましたが、農村部の人々の食事は未だに大きな変化はありません。このような現状から、研修員3名には栄養についてはもちろん、その他にもできるだけ視野を広げて欲しいという思いがあり、研修内容を構成しました。

まず、聖マリア病院にて母子保健の動向、産科病棟における母親学級、健康診断システムについて講義を受けました。その後マラウイ大使館を表敬訪問し、マラウイでの活動報告を行いました。大牟田市白川小学校では、学校給食とSDGsへの取り組みについて見学させていただき、生徒と一緒に給食を食べました。学校給食は家庭で補いにくい栄養を給食で補えるようにと工夫がされており、学童期の栄養に対する概念と学校給食の重要性について学びました。また、SDGsへの取り組みとして、生徒が家庭で集めたペットボトルキャップをNPO法人iサイクルがリサイクルし寄付をしています。その寄付金をマラウイの活動で使用していることを知った研修員は「生徒が日本から遠く離れたマラウイのことを思って活動をしてくれていたことにとても感銘を受けた。生徒が集めたひとつひとつのペットボトルキャップが、私たちの国で低栄養治療食となり、治療できる子がいることはとても嬉しく大変感謝している」と語っていました。道灌山保育園での給食見学後には「日本では学童期や乳幼児期から様々な栄養素を取り入れる工夫がされている。マラウイでは保健衛生普及員でさえ、様々な食材を取り入れたレシピを知らない。私たちが学んだことを医療従事者含め広く伝えていく必要がある」と、今後の思いを語っていました。

また、「日本とマラウイでは発展状況や経済状況などは異なるが、マラウイでは何ができるか思考することができた。その学びを活かし今後もISAPHと協力して地域の栄養改善へ取り組んでいきたい。また、日本で会った方々の、厚い歓迎にとても感動した。私たちを歓迎してくださった多くの方に感謝している」と研修を振り返り、日本での学びや感謝の思いを伝えてくれました。

ISAPHマラウイ 池邉 佳織

マラウイ大使館を表敬訪問

聖マリア病院の健診センターを見学

大牟田市白川小学校の生徒と一緒に記念撮影