マラウイ「子どもにやさしい地域保健プロジェクト」カウンターパートの本邦研修を実施

ISAPHが聖マリア病院と共同で実施しているJICA草の根技術協力事業マラウイ「子どもにやさしい地域保健プロジェクト」でのカウンターパート本邦研修を今年度も実施しました。今年度の研修員は、保健省予防保健局の局長ストーン・カブルジ氏とムジンバ県保健局エディンゲニ保健センターの環境保健官ラチボ・カピト氏でした。両名は2015年11月24日に来日し、12月2日に帰国しました。この間、聖マリア学院大学の国際保健講座での講義、熊本県芦北町保健センターでの乳幼児健診の視察と離乳食の試食、また同町の湯浦保育園での給食の視察などが実施されました。

大学の講義では、「マラウイ国の5歳未満児の栄養不良の改善のための政策(予防と治療)、そして活動内容」と題し、カブルジ氏はマラウイ国の保健指標、栄養不良の改善のための政策と保健システムを、カピト氏は保健センターで政策に沿い実施している栄養改善のための活動内容とISAPHとの共同事業などを、データや栄養不良児の写真などを紹介しながら講義しました。学生数は120名くらいで、皆マラウイの子どもらの栄養状態を「知ろう、学ぼう」という意識が感じられ、両名には非常良い機会でした。

芦北町では、町の母子保健事業の説明を受けました。カブルジ氏は母子保健手帳が「妊娠が確認された時」に渡されることに驚いていました。マラウイ国でも最近、似たような手帳が作製されたのですが、子どもの1ヵ月健診日に配布されるからです。妊娠から出産、そして子どもの5歳までの健康状態が記録できる手帳に非常に関心を示し、「何かマラウイでも導入できる内容はあるのではないか」と芦北町で配布されている手のひらサイズの母子手帳を頂きました。これは全て日本語であることから、英語の記載もある手帳をISAPHから渡しました。

また、4ヵ月児健診では、新しい紙オムツ1枚での体重測定を視察でき、衣服や濡れたオムツを身に着けたままでの測定では、正確ではないとのコメントがありました。こちらが見て欲しいポイントを確認してくれたことを嬉しく思った時でした。さらに研修員は、意外な健診サービスに注目していました。それは、出生時と今回の体重および身長から子どもの成長を数値として表していたことです。これは、保健師の方が成長具合を母親に説明する時に成長曲線より数値として表す方が理解して貰えるとの判断から導入されたと説明を受けました。研修員からは、自分の保健センターでも同様に実施してみたいが、出生時の体重と身長が未測定あるいは未記載のこともあるため、そこから改善をしなければならい。また、健診におけるこのようなきめ細かいサービスの実施は人材不足によりすぐには難しいが、このようなサービスを行うことで母親とのコミュニケーションが十分に取れ、指導がし易くなると思うともコメントしていました。

離乳食の試食では、甘いバナナとヨーグルトの混ぜ物以外は、砂糖や塩などが添加されていないことから「味がない」とのコメントでした。成人が摂るのではなく、離乳時期の乳児が摂るものであることが十分に理解されていないことを再認識しました。

ISAPHは今後もマラウイ国の保健省や県保健局と共に、乳幼児の栄養状態の改善を行っていきます。

聖マリア病院国際事業部 山崎 裕章

聖マリア学院大学で講義するカブルジ氏

子どもの成長を数値で確認

芦北町保健センターで乳幼児健診を視察