H20年度聖マリア病院群初期臨床研修プログラム「国際保健コース」研修

昨年に引き続き2009年2月10日から19日までの9日間、ラオス国における聖マリア病院群初期臨床研修プログラム「国際保健コース」のフィールド研修の受け入れを行いました。今回参加された研修医の安徳喜文氏の感想をご報告いたします。

ラオスフィールド研修を終えて

私は国際保健コース研修の一環として、2/10~19までラオスでのフィールド研修を行いました。

 ラオスは東南アジアのインドシナ半島に位置する、人口約560万人、日本の本州程度の内陸国で、アジアの最貧国の一つです。このため保健衛生分野でも予算がなく、多くの国や国際機関、NGOから援助を受け、母子保健活動や医療活動をなんとか行っています。しかしその援助活動にも地域格差があり、首都ビェンチャンや世界遺産がある地区など世界的に名の知られた一部の地域に援助が集中しており、それ以外の地域には援助十分に行き渡らない状態です。実際、外国の支援で立派な病院が建った地域もある中、私が訪れた郡の病院では滅菌用のオートクレーブすらなく、オーブンで器具を加熱し滅菌の代わりにしている状態でした。 

今回私はISAPHが活動を行っているカムアン県の小さな村で予防接種に関する調査を行いました。ISAPHはかぎられた資金ながら、郡・県保健局や各村長と協力し、現地の文化や教育レベル、言語、習慣に合わせた援助活動を行っていました。今回調査活動を行ったのは貧困率が高く教育レベルも低い地域であり、住民は自分の年齢を把握しておらず、子供の年齢も自立歩行が可能かどうかで1歳を超えているかを判断したりしていました。また民族の違いからラオスの公用語が十分に通じない住民もいるなど、保健衛生指導を行う上で多くの障害のある地域でした。それにも関わらず、今回調査を行った家庭の子供全員が5種類の予防接種を抜けなく受けていました。村によっては、依然として予防接種率が低いところもあり、現在も予防接種率向上に向けて対策を行っているとのことでしたが、ISAPHの活動が実を結んでいることが分かりました。大きな資金だけが大事なのではなく現地の文化や教育レベル、言語、習慣を知り、それに合わせた援助活動を行うのがいかに大切か学ぶことができました。

左から2番目安徳医師

研修医2年 安徳 喜文