ラオス 本邦研修を実施

ラオスと日本をつなぐ新しいキーワード「昆虫食」

ISAPHが展開するラオスのプロジェクトでは、ラオス人カウンターパートを日本に招聘して保健医療サービスに関する技術を学んだり、活動へのモチベーションを高く保つことなどを目的とした本邦研修を開催しています。2019年度は新しい試みとして、ラオス人研修員がただ一方的に学ぶだけではなく、彼らの文化や生活を日本人に紹介し、交流する試みを実現しましたので、今日はその報告をさせていただきます。

ISAPHの活動をフォローしていただいている方にはもうお馴染みかもしれませんが、私たちはラオスで食用昆虫を利用した村落開発活動を展開しています。ラオスの人たちが持つ昆虫を食べるという食文化を強みとして、食べてよし、売ってよしの昆虫を養殖し、栄養や収入に変えていこうとしています。今回の本邦研修では、その「昆虫を食べる」という文化の輸入を試みました。もちろん、蜂の子やイナゴの佃煮など昆虫を食べる文化は日本にもありますが、あまり一般的でないことからゲテモノ食いや貧困食とみられることが少なくありません。ラオス人たちは、昆虫を食べるということに対してどのように感じ、考えているのかを文化交流という発想で企画してみました。

今回の文化交流の舞台として選んだのは、“科学と社会をつなぐ広場”として毎年開催されているサイエンスアゴラ2019というイベントでした。昆虫はタンパク質等の栄養価の高さや、養殖にかかる環境への負荷から注目を集めている食材ですから、ラオスの人々の文化に触れながら「昆虫食」の意味や意義の再発見を試みました。イベントはISAPHと協力して事業を展開しているNPO法人食用昆虫科学研究会と合同で開催し、食用昆虫の試食やミニシンポジウムとして、ラオス人研修員と「昆虫食」をテーマに意見交換をしてもらいました。研修員は、はじめは少し緊張した面持ちでしたが、自分たちが慣れ親しんだ昆虫を食べる文化に日本人が興味を持っている姿を見ることで、積極的にコメントを述べてくれました。私がとても印象的だと思ったことは、研修員らは「貧困で食べるものが無いから昆虫を食べている」とは一言も言わなかったことです。それよりも、昆虫がどれだけ美味しいのか、その調理方法や食べ方、味などについてばかり話していました。つまり、ラオスの人々の昆虫食の文化は、ゲテモノ食いでも貧困食でもなくて、ただ一つの食材として美味しいから食べている、というメッセージを伝えてくれました。

日本食は、今や世界中で一つのブームのように普及しています。ラオスでも日本食が多くみられるようになってきました。この度ラオスから日本に来た研修員2名も、食べたことのない魚を生で食べたり(刺身)、納豆や梅干しにもチャレンジして、日本の食文化を快く堪能してくれました。みなさんはいかがでしょうか?もし興味がありましたら、いつかラオスの食文化に触れて見ると、何か新しい発見があるかもしれません。

ISAPH事務局 佐藤 優

サイエンスアゴラ打ち合わせの様子

ミニシンポジウムでの質疑応答

立ち見がでるくらい沢山の人に
関心を持っていただけました

「昆虫は美味しいんだよ!」と力説する
ラオス人研修員