2018年9月3日~7日に、ISAPHラオス事務所にて聖マリア学院大学のスタディツアーの受け入れをいたしました。参加された方から感想文を頂戴しましたのでご紹介いたします。
ISAPH 事務局
ラオスで体験して感じることができたこと
ラオスでは、都市と村に行き県病院・郡病院を訪問させていただきました。県病院と郡病院では差が大きいと感じました。郡病院では重症な場合や手術が必要な場合はすぐ県病院に送ると言われていました。それは、そのような場合に対応する設備や技術が整っていないからでした。このような状態のままだと身につく技術に限りが出てきます。私は設備を整えるだけではなく、それを使いこなせる技術がないといけないし、それを続けていけていく管理能力も必要だと考えます。病院を利用する大切さをもっと伝えなければならないと思いました。文化や習慣の違いがあり、病院のサービスより伝統的な治療をより信頼する人々もいるので、それらに「どう折り合いをつけていくのか」も大事だと感じました。郡病院を見学させていただいたときに、iサイクルの寄付金による粉ミルク支援を受けた子どもと会うことができました。iサイクルのボランティアに参加した時点では実際にどうなるか知っていてもあまり実感がありませんでした。しかし、今回自分の目で見ることで、少しは貢献できているのではと感じることができました。直接的な支援はできなくても、今の私たちでもできるボランティアがあるのでこれからも協力していきたいです。
たくさんの方々に話を聞かせていただき、色々な場所を見学させていただき私が今できることをしていこうと思いました。たくさん経験し挑戦して行きたいと思いました。
ラオスの母子保健と持続可能なもの
ラオスでの一週間を通して、その地の問題だけでなく文化や考え方に触れることが出来ました。日本での生活、考え方が当たり前となっていた私たちにとってこの一週間は大きな学びとなり、日本規模でなく、世界規模で物事を考え、受け入れることが出来るようになったと思います。
特に母子保健については、沢山の学びがありました。ラオスにおいて、妊婦の出産場所の6割が病院で、残りの4割は家で出産していることに驚きました。これを聞いた時に一番には経済的問題が思い浮かびました。日本では病院での出産がほとんどで、ラオスではそれが当たり前ではないということがわかりました。病院に行くまでに、経済的状況だけでなく、交通アクセスの問題、文化的な問題など様々な理由があり、特に文化的な問題はその土地の人の考えを否定するのではなく、受け入れながらも正しい知識、情報を提供することが大事であり、難しいと感じました。沢山の問題と改善点にすべて介入していくことは難しく、何が一番改善すべきところなのか関連図のように広げて考え、持続可能なものであるかを考えることが大事だということがわかりました。ただ手助けして終わりではなく、先のことまで見越して考えられていないものは持続可能ではない、逆に人々を苦しめてしまうことにもつながってしまいます。今回の学びを通して考え方も大きく変化し、その国の初めて見るもの、文化などに新鮮さを感じながらも、問題点や改善点に目を向け、学ぶことに熱中することができました。
ラオスでの学びとこれからの貢献
私が活動を通して学んだことの中で最も印象的だったことは、支援をする地域の文化や生活を知ることの大切さである。ISAPHの行うプロジェクトについて聞いていた時、栄養失調の子どもについてのエピソードがあった。そのエピソードでは支援する側と支援を受ける側の知識の差について考えさせられた。支援を受ける人たちはあまり栄養に関する知識が無く、お腹が空いた時に食べるものがあればいいという考えを持っていたり、子どもの栄養失調について関心が無かったりするかもしれない。今回の活動ではそのような人たちに対して介入していく難しさを痛感した。支援をする地域の文化や生活を知ることは一見当たり前のことのようであるが、それを知った上で無理なく地域での持続可能なプロジェクトを行うには住民が主体となってそれを行うことが必要である。しかし文化、生活習慣など何もかも異なる相手にどのような方法でプロジェクトに対する理解を得るかはとても困難であり、どのように相手の文化とこちらが行う支援に折り合いをつけるかが重要であると学んだ。
私たちがISAPHのプロジェクトやラオスの現状を知りこれから貢献できることは、まわりの人と今回自分が体験したことを共有し、少しでもラオスについて関心がある人を増やすことと、私たち自身が学んだことをずっと忘れないことだと考える。それによって、より多くの人に少しでもラオスのことはもちろん国際的な支援にも興味を持ってもらい一人一人が何か行動を起こすきっかけになればいいと思った。
ISAPHの活動や村の生活を経験して学んだこと
今回、ISAPHのラオス事務所で講義を聞き、村に訪問することでラオスの人々が今どのような健康問題を抱えているのか、また問題解決に向けてどのような活動をしているのかを学びました。
特に驚いたのはその地域に根強く残る文化です。講義では、乳児死亡が2005年に多発したと学び、その背景にはお母さんへの食禁忌(米としょうがと塩しか食べられない)や、モッカオ(産まれて間もない子供にもち米を与える習慣がある)などその地域に残る伝統や文化が健康に大きく影響を与えることにとても驚きました。また、出産は無料なのにアクセスが悪いなどのことから病院に行かずに家で出産するということに驚きました。しかし、実際に村に行った時に日本では考えられないほどガタガタな道のりを3時間ほど通り、アクセスしにくいということを実際に経験し、現地の人々の思いを知ることができました。他にも村では米や少量の野菜の栽培、釣りなどを行いほぼ自給自足で暮らしていて栄養バランスが悪いことも経験しました。
今回講義を受け村で生活を体験することによって日本では学ぶことのできない貴重な経験をすることができました。そして、悪いところばかり目をつけ、文化や伝統を真っ向から否定することは良くないという事も学ぶことができました。その人々の文化や伝統にどう寄り添いケアをしていくかが大切であり、これらは日本での看護でも重要なことだと思います。今回学んだことを忘れずに日本での看護に生かしていきたいと思います。
村の食事
ISAPHでの講話、活動に参加して学んだ事
私はタイ、ラオスにフィールドスタディに行く前にiサイクルのボランティアに参加したことがあります。キャップをカラー別に仕分けするボランティアです。そのキャップは再利用してプランターになったり、キャップを売って寄付し、寄付金でラオス、マラウイ、フィリピンでの母子保健支援事業に活用されています。粉ミルク支援や、ビタミンB1の配布などがあります。私はラオスの郡病院に行った際にiサイクルの寄付金によって支援してもらった親子に会うことができました。ボランティアをして実際に会うことでボランティアしてよかったと実感することができました。キャップを集めることは誰にでもできることであるため、友達にも伝えて一緒にボランティアしていけたらいいなと思います。
佐藤さんのお話を聞いて印象に残っていることは子どもに聞いた1日の食事の内容です。たくさん食べられている食品の5番目にスナックが入っていて、スナックをご飯として食べていることに驚きました。スナックよりも果物とかのほうが栄養がたくさんあるのになぜスナックのほうが多く食べられているのか不思議でした。理由は果物がスナックより栄養があるということを知らないからであると言われていました。子どもの頃から栄養が偏っていると成長にも影響してくると思うので、まず親が正しい知識を知った上で子どもにご飯を食べさせることが大切だと思いました。そのためには正しい知識を伝え、簡単なレシピを教えたりする事で栄養の偏りも少なくなってくるのでないかと思いました。
ラオスを訪問して気づいたこと
フィールドスタディに参加するまでISAPHとは何か、聖マリアグループが行っているプロジェクトだとは知りませんでした。本当に私たちと同じ時代を生きているのかと考えさせられるほどの田舎の奥地に住んでいる方々に、必要な時に必要な医療を届けられるようにと活動されているお姿は、とてもすばらしいと思いました。
ラオスの現状として、経済的問題が大きく関わっていることを知りました。ラオスを訪問するまでは、私たちにできる支援は寄付か物の支援だと思っていましたが、それは持続可能な支援ではなく一時的な支援であることを知りました。また必要なことは、自分たちで物を作ったり維持したりできる技術であると聞きました。実際、各国から病院に医療機器や道具の寄付をしてもらっていても壊れたから使えない、どこかの国が寄付してくれるのを待っているという場面を目にし、非常に驚きました。私たちが当たり前にしている修理や点検をする技術を伝える重要性を感じました。また、整備されていない道路を通って病院に行っているのを知ったときに、私は道路を整備すればいいのではないかと思いました。しかし、整備されていない道は私たちが通った道1つだけではなく、ほとんどの村からの道はそのような状態であることを知りました。道路を整備する前にお金がないという問題点があることから、病院までのアクセスを今よりも簡単にすることはまだ難しいことだと思いました。
スタディツアーを通して学んだこと
今回のスタディツアーは、ISAPHラオス事務所の活動や保健医療の取り組みを中心として学ばせていただきました。
スタディツアーの中で特に、文化を理解することが大切だと感じました。日本では、病院で出産しますが、ラオスでは自宅で出産することが多いということでした。乳児死亡を減らすには、病院でケアを受けることが重要だと感じます。しかし、自宅で出産するということは、昔からの文化なのですぐに改善するのは難しいと感じました。文化の違いを感じることは多かったですが、沢山学ぶことができた時間になりました。
ISAPHラオス事務所の講義では、住民参加型の支援に取り組んでおり一方的に支援するのではなく、一緒にすることで住民の方の理解やその中で信頼関係が築きあげられていくのではないかと感じました。同じ視点に立ち、問題となっていることなどに気づくことが必要だと講義を受けて思いました。
スタディツアーを通して、支援をするだけでなく、支援を継続する重要性を感じました。改善したから終わりなのではなく、さらに良くするにはどうしたらいいかを考えなければならないことは、看護と共通すると思いました。今回沢山のことを学ばせていただきました。自分が今できることを考え、将来につなげていきたいと思います。貴重な体験をさせていただきありがとうございました。
私のラオスでの学び
私は今回のフィールドスタディで初めてラオスの地に足を踏み入れた。私たちはサイブートン郡病院の見学と村へ家庭訪問をさせていただいた。その中で学んだことが2つある。
1つ目は病院に行くことができる環境は当たり前ではないということである。世界ではUHC(Universal Health Coverage)が推奨されており、その定義は必要な時に負担可能な費用でサービスを享受できるとされている。しかし、ラオスではサービスを受けるために病院に行こうとしてもアクセスが良くない。サイブートン郡までの道は舗装されておらず、病院に行くまでにかなりの時間がかかる。病院にすぐに行くことができる私たちにとっては驚くべきことだった。
2つ目は食べることのありがたさを学んだ。ラオスの村では食料は自分で取って食べるものであり、日本のようにスーパーで買って食べるものではない。私たちは食料取りに同行させていただいた。田んぼの畦道を歩き、泥まみれになりながら小魚や貝などを取る。これを毎日行うのは体力的にもきつい作業である。食料を取る大変さが食べるものに対しての感謝に繋がるのだと感じた。
百聞は一見にしかずというようにラオスに行って初めて分かることが多々あり、それらはとても勉強になることであった。またラオスの方々は、全く知らない私たちのことを温かく迎えてくださった。日本とは異なる環境で苦しむ場面もあったが、それに勝る実りある研修であった。この研修は私にとって忘れることのない貴重な経験だった。