カムアン県タケクでの活動準備

母子保健情報の収集と整理

ビエンチャン中央母子保健センター(MCHC)では、2004年よりユニセフの支援の下、ラオス北部(ホアパン県、ルアンナムター県、ルアンパバーン県)や南部(サワナケート県、サラワン県、アタプー県)で地域保健活動を行っています。現在はMCHC のスタッフが直接各県を巡回指導しています。各県にある全郡を対象とし、郡スタッフと共に数ヶ所の村落を選び、直接指導しながら以下の活動を行っています。すなわち、乳幼児検診、予防接種、身体計測とこれに付随する栄養についての健康教育、妊産婦検診とその指導などです。カムアン県と隣接しているサワナケート県では、すでにMCHCからの指導を終え、今年から県主導で活動が引き継がれているそうです。今後、全国展開していく方向ということで、ISAPHとしても近々、サワナケート県での活動を視察する予定です。
カムアン県病院母子保健センターは、県病院の敷地内にあり、県病院周辺の18村を管轄し、月間300件の妊産婦健診と家族計画についての診察と処置を行い、乳幼児に対しては、月間400名の予防接種と身体計測を行っています。他には、県病院で出産した家庭を訪問し、乳児健診を行っています。身体計測からの栄養評価は、身長と体重から割り出すのではなく、月齢と体重から算出し、かなり簡易に行われています。体重計測は衣服を着たままで包布すらとらずに計測され、身長は帽子をつけたままで計測が行われているなど、統一した方法で計測されていない現状です。月齢体重表の標準体重区域から逸脱する児は20人中1人ほどであり、小児科医により簡単な問診と口頭で栄養指導する程度です。発育・発達についての診察はありません。

活動地域となるセバンファイ郡病院母子保健センターでは、月間20名ほどの妊婦健診と予防接種や身体計測が行われています。ここでは、身長と体重から栄養評価が行われていました。栄養指導の実際は、口頭で母乳栄養の必要性と母親の食品摂取についての指導を行っていました。

中央保健省から県、郡と身体計測や栄養指導の方法について、統一した方法で実施できるよう支援していきたいと思います。

プロジェクト事務所の整備

プロジェクト事務所は、その機能・目的から2ヵ所設置しました。1つは、プロジェクトの事務管理作業や関係者運営委員会などの会議を行うため、カムアン県保健局内PHCセンターに隣接した食品衛生課の建物の2階に設けました。もう1ヵ所は1年目のプロジェクトサイトで、具体的な活動の拠点となるセバンファイ郡病院敷地内結核病棟の一室です。いずれも、保健局側と場所の検討など何度も交渉を重ねた末に、相手側から提供してもらうことができました。

県保健局にある事務所の建物は1924年の統治時代にフランスが建てたもので、モダンな雰囲気ですが、かなり老朽化が進んでおり、壁や床の塗装や修理が必要でした。これらの修理や清掃は業者に依頼せずに、自らで行いました。それを周囲で見ていた保健局や看護学校の職員が手を貸してくれるのは嬉しかったのですが、いったん壁の色がピンクになったときは、どうなることかと思いました。場所の選定から事務用品の購入などで2ヶ月ほどかかりましたが、見違えるほどきれいになりました。業者を使えば早く準備が整ったかもしれませんが、自分たちの手でリフォームしたことで予算を節約でき、事務所やプロジェクトに対する愛着を持つことができました。

現地カムアン県での生活情報

アクセス

カムアン県はラオス中部に位置し、ビエンチャンの南方350km のところにあり、ビエンチャンからバスでの所要時間はおよそ6時間です。県都のタケクは、メコン川を挟んだ対岸がタイのナコーンパノムという町で、外国人にも国境が開放されています。

物価

物価は、私たちが2002年に青年海外協力隊でラオスにいた頃から、ほぼ1.5~2倍になっています。特にガソリン代が2倍以上になり、交通手段であるバスやラオス庶民の交通手段でもあるトゥクトゥク(3輪バイク)などの乗車賃が跳ね上がっているのに驚きました。ちなみに、ビエンチャンから私たちの活動しているカムアン県までは、3年前は20,000kip だったのが現在では40,000kip です(100kip は約1円)。食料品などは以下の表をご参照ください。

現地公務員の月給は30ドルから40ドルで、3年前とはあまり変わっておらず、物価だけが上昇しているので、家計は苦しくなっているようです。

為替レート 1$=10,800kip
ガソリン 8,000kip/L(80円)
うるち米 5,000kip/kg(50円)
もち米 3,000kip/kg(30円)
肉類 30,000kip/kg(300円)
1,000kip/ 個(10円)
ラーメン 8,000kip(80円)

宿および住居

日本人によく利用されているのが、メコン川沿いにあるカムアンホテルです。1泊10ドルでホットシャワーもついています。ゲストハウスは10件ほどあり5ドルか8ドルくらいです。
借家のほとんどは一軒家で、勧められる家が10件以上ありましたが、安全上の整備や家賃などを考慮すると、なかなかいい物件はありません。一人で生活する点において、大家さんが近隣に住んでいて、人柄がいいことが一番の決め手でした。カムアン県都タケクで生活していて、電気は雷や雨の影響で時々停電するもののすぐに復旧し、水道は断水することはなく快適に過ごせています。

通信事情

この数年の間に、携帯電話が普及し、町中の若者のほとんどが所持しています。携帯電話で日本とも通話できます。

郵便物は日本からカムアン県まで2週間以内で郵送されており、途中で紛失することはほとんどありません。
インターネットやE-mailの環境は、雨季(5月から9月)は非常に悪いです。先日、町中に1件だけインターネットができるお店を見つけました。

ISAPH LAOS 芝田 澄子