今回ラオス滞在中にJICAラオス事務所保健医療担当吉村由紀職員より、JICAとしてのラオスにおける事業の目途・方向性に関し、特別ご寄稿いただいたので、ここに掲載します。
JICAラオス保健事業における展望
JICAラオス事務所 吉村由紀
現在JICAラオス事務所では、保健セクターにおいて、母子保健改善ブログラムを策定中であり、2015年のMDGs達成を目指し中央保健省及び南部4県を対象として、保健システム強化の取り組みを中心とし母子保健の改善のための支援を展開していく方針です。
これまで技術協カプロジェクトや無償資金協力などでは、計画策定時にある程度の稗益が見込まれる地域・内容を対象として選定する仕組みとなっています。同じ投入であるならば、稗益人口が多い方が効果的といえます。しかし、それではどうしても遠隔地に対する協力が届きにくくなります。ラオスは特に人口が少なくまばらであり、本当に援助を必要としている山岳部の村民にまで光をあてた協力がしにくく、せっかくの支援が国内格差拡大の一因になりかね ないという危惧があります。他の開発パートナーも同じようなジレンマに直面しています。
現在策定中の母子保健改善プログラムでは、何らかの形で遠隔地への対応を含んでいけないかと検討しています。
一つの解決策として、技術を習得した保健医療従事者の遠隔地定着のための支援が挙げられます。都市部から遠隔地への人材配置はなかなか難しいため、奨学金等により遠隔地出身者が保健学校等で学ぶ機会を提供し、出身地に戻って働いてもらうという流れを作れないかと考えています。
現在世界の潮流として、2015年のMDGs達成を目標に支援が動いておりますが、今後JICAとしての支援の方向性を検討するにあたっては、人材育成を中心として10年後の2020年までを見据えた協カシナリオを検討していきたいと考えています。
吉村氏
ISAPH理事長 小早川隆敏