2015年11月よりおよそ5ヶ月にわたり、ISAPHではマラウイ国における急性低栄養を対象とした治療プログラムに対して治療食(補助栄養食)の緊急支援を実施しました。今回はそのご報告を致します。
マラウイ国は低栄養状態に陥った12歳未満の子ども並びに妊娠及び授乳中の母親を対象としてCMAM(Community-based Management of Acute Malnutrition)と呼ばれる治療プログラムを実施しています。今回、支援の対象となったのは、その中でも一番軽度な部類に入るもので、SFP(Supplementary Feeding Program)と呼ばれています。軽度と言っても、6ヶ月以上5歳未満児の例で言えば、身長別体重が平均値から標準偏差2つ分下に外れているような子が対象となります。判断の基準としてMUAC(Mid-Upper Arm Circumference:上腕周囲長)を採用した場合には12.5 cm未満となりますので、巻き尺で12.5 cmの輪を作ってみればその細さが分かりますし、実際に見てみますと周りの子と比較してもかなり細いです。
さて、同プログラムに対しては国際連合世界食糧計画(WFP)が補助食を提供しています。しかしながら、マラウイ国ムジンバ県エディンゲニヘルスセンターにおいては当該物資が度々在庫切れを起こしており、2015年に入ってからは最長で5ヶ月にわたり対象児へ物資が届いていない状況にありました。同県保健局の栄養担当者によれば、当該在庫切れの状況はエディンゲニのみではなくムジンバ県全体に言えることのようであり、かかる状況下における対象児に関する栄養状態の更なる悪化を防ぐために、ISAPHでは同ヘルスセンターにおいて実施されているSFPに対して栄養補助食の緊急支援を開始しました。
同補助食の内容については県保健局の栄養担当者及びWFPの同県担当者との会合の結果、現地で調達可能な食材を用いることとし、トウモロコシ、大豆、及びサラダ油(ビタミンA配合)を一定の割合で配合したものとしました。なお、SFPの対象児ですが、身体計測値が所定の基準を満たした時点で同プログラムを終了するか、若しくは反対に症状が悪化した場合にはより重度の低栄養児を対象とする治療プログラムへと移行することになります。
2015年11月25日に当該支援を伴う初のSFPが実施され、以後、2016年4月13日までに合計70名の対象児に対して累計300回の支援を行いました。当該支援期間中に合計25名が回復し同プログラムを終了することができました。
なお、同支援を終了した2016年4月13日の時点において、エディンゲニヘルスセンターに対するWFPからの物資供給は再開していました。今回の緊急支援物資をすべて提供した後はWFPからの物資を用いる形でSFPが継続されました。
今回の支援に要した費用については全額ONE by ONE様から頂戴した寄付金を用いました。ここに改めてお礼を申し上げます。また、エディンゲニヘルスセンターへ派遣されているJICA青年海外協力隊員の木村清人氏と協働し同支援に関する追跡調査を実施する機会に恵まれましたし、同隊員からは多くの情報提供をいただきました。ありがとうございました。
ISAPH Malawi 村井 俊康
SFP対象児
SFPにおける身長測定
(写真左はエディンゲニヘルスセンターへ派遣されている
JICA青年海外協力隊員の木村清人氏)
SFPにおいて配布すべき補助栄養食の重量を計測する
ヘルスセンタースタッフ