山陽女子短期大学スタディツアー

2019年9月12日~13日に、ISAPHラオス事務所にて山陽女子短期大学のスタディツアーの受け入れをいたしました。参加された方から感想文を頂戴しましたのでご紹介いたします。

ISAPH 事務局

ISAPH活動地域を見学して

本学臨床検査学科においては、国際社会に適応できる学生を育てることも、教育目標の一つと考え、ラオススタディーツアーを企画しました。実際に、ラオス国の医療や公衆衛生の現状を自分の目で見ることによって、何ができるのかを考えることの重要性を深く感じました。

カムアン県病院やサイブートン郡病院の見学、並びに村の人々の生活を体験させていただいたことで、ISAPHの方々のラオスにおける国際貢献活動の大変さを垣間見ることができました。

今回のスタディーツアーに参加して、二点について問題点を感じました。まず一点は、病院施設で働いておられる技師の方たちの業務に対する熱意は非常に意欲的なものであると感じました。確かに、環境や使用されている医用検査機器に関しては、十分なものとは思えませんでした。日本において、700床以上の市立病院で38年間働いてきた自分にとって、当たり前のように最新の検査機器を揃え、また50人以上の臨床検査技師と共に、最新の検査項目を実施していたことに対して、検査機器を扱える人の不足や、私たちの目から見て、検査のそれぞれの分野においてもう少し検査項目が増えたらとか、この検査機器があればもっと沢山の検査項目が検査可能なのにと思うのは、恵まれた日本という環境で過ごしてきた検査技師の考えに過ぎないと感じました。

もう一点は、農村部における公衆衛生についてです。農村部の道路や、家庭においてもゴミ問題が目につきました。「ゴミは誰かが処理してくれるもの」と思われるくらいビニールやお菓子の袋をそのままその場に捨てていたのには、まずは教育の重要性も感じました。

井戸を掘って、水を飲むことに関しても問題があることを、実際のトイレの作り方を見て感じました。自宅にはトイレが、庭に作ってありました。ご主人に、このトイレの仕組みを聞いて、少し驚きました。日本の井戸と同じような、直径1mくらいの大きな土管を埋めて、その上に便器を造り、排せつした小便・大便は自然と土地に浸透していく仕組みになっており、決してし尿を取り出すということはしないとのことであった。地下水を利用できない理由の一つではないかと思いました。

住民の意識を変革しなければ、抜本的な解決につながらないのではと感じました。では農村部においてゴミを捨てずに集めた場合、誰がどこで処分をするのかという大きな問題が浮かび上がってきました。日本においても、昔はごみの分別などに対して意識が薄かったことを顧みると、浸透させるのに相当の時間がかかるとは思いますが、粘り強く日本のノウハウ提供と市民の意識改革に取り組むことと、国としての方向性の決定につながるのではないかと思いました。公衆衛生観念が変わると、その後医療に対する観念も変化していくのではないかと思いました。

ISAPHの方々の、ラオスにおける並大抵でないご努力には、大変頭が下がる思いでした。ISAPHの存在感や影響力が、ますます高まることを祈念申し上げます。今回、貴重な体験をさせていただきましたこと、深く感謝申し上げます。

山陽女子短期大学臨床検査学科 教授 谷口 薫

ISAPHの活動地域の村を見学して

私は村の見学をすると聞き、日本の田舎のように周りが田んぼで囲まれているところだと想像をして、村に向かいました。実際に行ってみると、道は整備されておらず雨季の時期でもあるため水たまりで、ガタガタの道を走り村に到着しました。

私が見学したファミリーは小さな商店、バイクの修理業と農業でした。子どもが5人おり、商店のお手伝いや家事のお手伝いをしている子どもやお昼まで学校に行っていた子どももいました。まず、文化の違い、国の特色である女性が主に動くということを実感しました。

また、畑は近くになく、荷物を運ぶ用の車みたいなものに30分弱乗り、畑に向かいました。畑までの移動の間に、私は「日本がどれだけ豊かで生活に苦がない」とすぐに思いました。日本にいるだけでは、車があり、荷物を運ぶようのトラックがあり、道路も整備されており、十分楽な生活をしているが、まだまだ楽を求めてしまう毎日でした。しかし実際に村を見学して、私は楽を求めすぎていて、日本の生活が当たり前に思いすぎているということを実感しました。

村にいた時間はあまり長くなかったですが、車がたくさん通るわけでもなく、人もたくさんいるわけでもなかったため、時間の流れがゆっくりと感じのどかな時間を過ごすことができました。この村を見学して1番感じことは「日本の当たり前は贅沢だ」ということです。

文化の違いや生活の違いを、数時間でしたが体験できたことが、貴重な時間となりました。

山陽女子短期大学臨床検査学科 岩田 夏穂

ISAPHの活動地域の病院、村を見学して学んだこと

今回のラオス研修ではISAPHの活動についてのお話を聞き、県病院、郡病院の見学、ISAPHの活動地域の村の見学をさせていただきました。

病院で話を聞いたところ、病院に来ない人が多いことを知りました。その原因の一つに精霊信仰があり、祈祷で病気を治そうとする文化があるためです。お金がないから来ることが出来ないというわけではないことが、分かりました。

病院に来ないというのは妊婦も同じで、ラオス政府が勧めている妊婦健診に1回以上来る人は全体で70%、4回以上来る人は40%であることが分かりました。この原因としては妊婦の祖母や母親等が行かせない、家で産んでも子どもは元気に育っているので病院に行く必要性を感じないなどがあることを知りました。

今回の研修で感じたことは、まずラオスの人々の意識を変えていく必要があると感じました。しかし今回、病気になったら病院に行くという私たち日本人にとっては当たり前のことが、ラオスでは当たり前ではないと知ったことから、日本人である私たちとラオス人の文化は違うということを改めて感じました。そのため、日本の当たり前を押し付けるのではなく、ラオスの文化を十分に理解したうえで国際協力を行う必要があると感じました。これはラオスに限らず、どの国でも同じ事だと思います。その国について十分知ったうえで、自分ができることを考えていきたいです。

村の様子を見学するという貴重な体験をすることができ、とても勉強になりました。今後、自分に何ができるかしっかり考えたいと思いました。本当にありがとうございました。

山陽女子短期大学臨床検査学科 大田 桃佳

郡病院の病室

ISAPHの活動地域の村を見学して

今回、ラオスのサイブートン郡を訪れて最初に感じたのは、首都ビエンチャンとはとても差があるということでした。都市部とは違い車通りも少なく、コンビニや飲食店などもありませんでした。私達は実際に村の住民の方と交流をさせて頂きました。そこで昼食のための食料調達にも同行させて頂きましたが、日差しの強い中足元の悪い道を長時間歩き、筍やきのこなどを採取する作業はとても大変でした。この作業を村の方は普段から行っていると思うと、日本で暮らす私達はとても楽な環境で生きているのだと実感しました。

郡病院の見学をした際に、村の住民は病院の必要性を感じていない人が多く、出産の際や、体調が悪い時でも病院には来ないと言っておられたのが、とても印象に残っています。実際に村の住民の方が病院に行こうと思っても、村の道は雨季の影響もありボコボコで、行くこと自体も大変だと感じました。ラオスには生まれて間もない赤ちゃんに「モッカオ」というもち米を食べさせる風習があるという話も衝撃的でした。

今回の見学を通して、村には昔からの風習や考え方が未だに根強く残っていると感じました。このような現状の中、ISAPHの方々が行っている保健指導や粉ミルクの支援など、住民のこれまでの認識を変えていくような活動は、とても重要だと思いました。ただ医療サービスを提供するのではなく、医療を提供する相手のことを考えて、相手に合った医療活動を行っていくことの大切さを、学ぶことができました。このような貴重な体験をさせて頂きありがとうございました。

山陽女子短期大学臨床検査学科 金 知澪

ラオススタディーツアーを通して

今回ラオススタディーツアーに参加し、ISAPHラオス事務所でお話を聞いたり、実際に県病院、郡病院、村での生活風景を見学させていただきました。この体験の中で、日本では経験できない学びを多くすることができました。その中でも、日本の病院であまり聞かない母子保健科やファミリープランニングルームが、どの病院にもあるのが印象的でした。発展途上国ということもあり、避妊の知識があることや、妊娠した際に病院に行き健診を受けて出産するということが、当たり前ではないのだと感じました。また、病院食というものがなく、入院すると家族が病院で寝泊まりし食事を作らなければならず、出費もかさむため、病院に行きたくても行けない人がいるということがわかりました。しかし、病気を治すためや、安全に出産を行うためには病院で治療、出産することが望ましいため、どうやって病院に来てもらうかということが課題であり、金銭的な問題、宗教的な問題、病院への信頼など様々な壁があることを知りました。

また、途上国への支援は物やお金を渡すのではなく、現地の人と信頼関係を築きあげた上で医療を理解してもらい、受け入れてもらうということが大切であると学びました。信頼関係を築いていくには、その国の文化・風習、価値観を学ぶことが重要であり、現地の人と共に活動して同じ目線に立って関わることで対等な立場になることが、信頼関係に繋がると感じました。

今回、ISAPHの活動を見学させていただいて、国際協力の本当の難しさや、支援するにあたって現地の人と共に活動をする大切さを、学ぶことができました。そして、自分の視野を広げる良い経験となりました。

貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。

山陽女子短期大学臨床検査学科 小橋 理沙

ラオススタディーツアーに参加して

今回ラオスのスタディーツアーに参加して、第一に感じた事は、想像よりも発展していた事です。首都は観光客も多く、様々な施設があり物に困ることはありませんでした。けれど、首都から離れると道も土のままで、大雨の影響でかなり凹凸の激しい道でした。施設として、雑貨・駄菓子などを取り扱う店のみで、食品店はなく、食事のためには山菜を採取する必要がありました。その山菜もそれぞれの自宅からかなり遠く、畦道を通ったり木々が茂っている間をかき分けて通ったりと、食事をすることだけでかなりの労力と時間を費やすことを体感しました。それなのに村の住人もスマートフォンを多くの人が持っていたり、幼児は常に駄菓子を握りしめていたりと、日々の食事とのギャップに驚きました。お金がないわけではないことは分かりましたが、使用用途にやや疑問があり、私の場合は採取道具を新調し、最低限度の生活を豊かにする事から優先的に資金を費やすことが良いと思いました。価値観の違いを押し付ける事は、村の発展に繋がらないかもしれないけれど、根本を見直すことが今後の展開にいい影響を与えると考えます。

カムアン県病院の検査室では、検査室に入る所は靴を履き替え清潔区域として扱っていました。また、検体を扱うところを清潔区域とし、検体受付は不潔区域としていました。一方、日本では検体を取り扱う所は全て不潔なものとして扱っているため、感覚のズレがありました。また、母子保健科では乳幼児の予防接種について明記されていたりと、対応がしっかり行われていると感じました。しかし病院の対応が確立されても、同レベルの医療施設の数が少なく、そこに通院したくとも道路がきちんと整備されておらず、通えないという状況に陥っているため交通整備が第一の課題と感じました。

今回は、ラオスの医療や文化を見学するとても貴重な経験をさせていただきありがとうございました。

山陽女子短期大学臨床検査学科 重松 恵嘉

実際を知ることの重要性

今回、ISAPHの方にISAPHの活動などのお話を聞いたり、病院を見学させて頂いたり、実際に村の方々の生活を訪問・体験を行わせて頂いた。

郡病院では検査項目も少なく、機器も揃っているとは言い難かった。加えて、村から病院への距離が長く、道路の状況は凸凹で車が大きく揺れた。これは私の想像の数倍であり、衝撃を受けた。これでは、具合の悪い方を病院に連れて行くまでの過程で、悪化してしまうだろうと思った程である。

ラオスの、特に地方では、具合が悪くなった時や子どもを出産する時に、病院へ行くのが当たり前でないということを知った。医療への信頼性が低いことなどが原因であると学んだが、道路の悪条件も1つの原因となることを、身を持って感じた。

村では食材を取ることの大変さと危険さ、栄養の偏りなど、人々の生活や環境を知ることができた。

文化や風習、価値観、背景にある歴史が当然であるが、日本とは大きく異なる。事実ではない間違った行いや考え方だからといっても、ラオスの村に住む人達にとっては正しいことなのである。私達にとっての正しいことを押し付けるのではなく、ラオスの方々と同じ目線に立ち、工夫をして、多面的な視点から支援することが大切なのだと分かった。だからこそ、改善への道は長いものとなるのだと痛感した。

実際を知ることにより、物資や建設などの直接的な支援もさることながら、支援がなくとも現地の方々が生活や知識の保持・伝搬を維持できる「未来への持続」的な支援を行うことが重要なのだと分かった。

現地に赴き、実際を見て、聞いて、体験することにより、多くのことを知ることができ、その上で多くのことを感じ、考えることができた。

貴重な経験を得ることができました。ありがとうございました。

山陽女子短期大学臨床検査学科 中山 朋美

村へ行くまでの凸凹で水浸しの道路

村の生活:
たけのこ刈りに行くまでの道のり

ISAPH の活動地域の村の見学をして

今回、ラオススタディーツアーに参加して、カムアン県病院やサイブートン郡病院そして村の人々の暮らしの様子を実際に見て体験することができました。その中でも私が特に印象に残っている体験があります。

それは、村のある一家の普段の生活の様子を一緒に体験してみるというものでした。まず、家の様子について印象的なのが、トリやイヌやウシやブタなどの動物が、庭に放し飼いされていたことでした。村に来る途中に車で通った道にも、家庭で飼われていると思われる動物が沢山いたのを見ました。だから、村では放し飼いは普通のことなのだろうと思いました。また、それらの家畜は、食べるために育てているのだそうです。そして、目的の家に到着して少しすると、食材を調達するためにフードハンティングに同行させてもらいました。道中は田んぼの畦道をひたすらに歩きました。少し開けた場所に出ると、自然に生えているタケノコやキノコを採集しました。私達もお手伝いさせてもらいました。キノコなどはどうして食べられるかそうでないか分かるのかと聞いたら、他の人が食べているのを見たと返ってきたので大変驚きました。本やネットで調べたりしなくても、自分達の経験から学習していくのだと思いました。その後、家に戻りそのまま昼食の支度を一緒にしました。採集したタケノコやキノコを使ったスープや、パパイヤを使ったサラダなどの作るお手伝いをさせてもらいました。すり鉢で調味料を混ぜ合わせたり、お皿を並べたりと言葉はなかなか通じませんでしたが、手振りなどで意思疎通ができ、貴重な時間を過ごせました。

最後に、村の人々は私達を見かけると挨拶をしてくれたり、ラオスのもち米を蒸した食べ物をくださったりと、とても優しい人々が多いという印象でした。また、訪問させて頂いた家の方も、とても歓迎していただきました。まだまだ発展途上ではありますが、ラオスでしか得られない気持ちや経験をすることができて、このツアーに参加した意味を改めて考えることができました。ありがとうございました。

山陽女子短期大学臨床検査学科 三宅 香穂

ISAPHの活動地域の村の見学をして

今回、大学を通して約1週間のラオススタディーツアーに参加しました。ISAPHの活動地域の村で、郡病院の見学や家庭訪問をしました。村の訪問では、村の方々と会話をしたり、一緒に山で山菜や筍を収穫し、それを調理して食べたりしたことがとても貴重な体験となりました。村の方々とジェスチャーや写真を使いながらコミュニケーションを取ることが出来ました。言葉が通じないからこそ、自分から積極的に動いたり、コミュニケーションを取ったりすることがどれだけ大切なことか学ぶことが出来ました。実際に村の家庭を訪問させていただき、裕福ではないけれども家族や地域の人々と協力し合って楽しそうに生活をしている姿を見て、「幸せの形」について考えることが出来ました。

日本以外の国の病院や医療施設を見たのは初めてでした。医療技術や検査項目、宗教などを通しての医療への考え方の日本との違いをとても感じました。ラオスで使用されている医療機器や医療施設の多くは、先進国から支援されているという事を知り、支援の重要性を感じました。ラオスには母子保健科があり、妊産婦死亡率を減少させることに力を入れていることを知りました。それにも関わらず地方の村では、妊婦健診に来る人、病院で出産する人は、とても少ないというのが現状でした。これには交通の便、村での言い伝えや習慣、文化、誤った考え方など、医療以外の部分が大きく関係していると思いました。医療機器などの支援だけではなく、正しい知識の教育や道の舗装、経済発展の援助をすることも、誰かの命を助ける事に繋がることを実感しました。

医療を通して世界について考え、多くの事を学ぶことが出来ました。貴重な体験をさせていただき、本当にありがとうございました。

山陽女子短期大学臨床検査学科 山下 もも

ISAPHの活動地域の村の見学をして

今回ISAPHの活動見学では、カムアン県病院、サイブートン郡病院の見学、村での生活の体験を行った。それぞれの見学や活動で良い点やまだ改善途中の問題点に触れることが出来た。

カムアン県病院では、清潔区域と不潔区域を区別するためのテープが張ってあり、また検査室用の履物がある点に驚いた。この区域を分けることは実際にも日本の病院でも行われているが、院内の検査室に入る前に履物を履きかえるまではしない。そのため、カムアン県病院の「病原微生物を出来るだけ検査室外に持ち出さず、安心・安全な病院にしたい」という姿勢がうかがえた。

都心部からサイブートン郡病院までの道のりは遠く、車やバイクなどの交通手段がない限り不可能であり、また雨季であったこともあり道が凸凹していて、このような点から都心部の高度な医療を受けたくても受けに行くことができない現状がうかがえた。また、母子保健の観点で「食禁忌」や「モッカオ」など古くからの伝統や風習、さらに経済状況により、子どもに栄養価のないコンデンスミルクを与えるしかないという現状がわかった。しかし、ここで強要した指導をしていくのではなく、村の人々との信頼関係を築きながら、きちんと理由や根拠を提示した上で改善していくことが大切だとわかった。

今回の活動を通して、ラオスの現状や必要とされていることが少し見えたと思う。いつか自分自身も技術支援や研究で発展途上国の力になれるよう、それまでに自分自身の技術や知識を身に着けていこうと思う。

広島大学病院病理検査部門 新原 菜香

村の寺院のお祭り

カムアン県病院の清潔区域と
不潔区域の区別