2016/8/23

ラオス国サイブートン郡で初期研修を実施

ISAPH LAOS 佐藤 優 

踏み出す、活動への第一歩

言葉だけで伝える難しさを「伝言ゲーム」で体験

突然質問されて、住民もちょっと戸惑い気味?

パネルシアターを使ったグループは
栄養素について話をしました

こんにちは。これまでのニュースレターでお伝えしたとおり、ISAPHラオス事務所では、今年4月に新しいMOU(Memorandum of Understanding:了解覚書)をカムアン県保健局と結び、そしていよいよサイブートン郡で本格的に活動を始める直前の段階までたどり着くことができました。今日は、最後の準備として郡保健局と郡病院の職員に向けて実施した研修についてお話ししたいと思います。

サイブートン郡における母子保健の問題を見渡したとき、国で定めている母子保健サービスがすべて十分に行えていないことに目が留まります。特に、病院などに来ることができない住民のために、職員が村に出張してサービスを行う「アウトリーチ活動」が実施できていないのは一つの大きな問題です。その背景には経済的な要因も潜んでいるため、すぐに解決できることではありません。しかし、村人たちはこの活動を必要としています。なぜなら、彼らは簡単に病院に行くことができず、健康に関する知識を得る機会も限られているからです。貧しい家庭はテレビもありませんので、どのように暮らすことが病気を予防するために必要なのか、情報を得ることができないのです。

さらにこの現状は、ただ「村人がサービスを受けることができない」ということを意味するのではありません。サイブートン郡の職員にとって、サービスが提供できない実情は、仕事で培われる経験や保健医療専門職として成長する機会も失ってしまうことに繋がるのです。その結果、職員が持っている、活動を行うための技術や自信、ノウハウが少しずつ無くなっていってしまうのです。

ISAPHでは、このような現状を見て、現地の職員と一緒に母子保健活動をするには、まず研修が必要であると判断しました。職員への聞き取りから、病院の診察ではあまり実施していない、「健康教育」に焦点を当てた研修が最も必要であると考えました。この健康教育という活動は、学校に行っていない人にも、男性にも女性にも、子どもにも大人にもわかりやすく話すための知識や技術、そして経験が必要です。私たちは、カムアン県保健局の職員と協力して、この健康教育を学ぶ研修を開催しました。

研修では、村人に情報を伝える難しさ、健康教育で情報を分りやすくするポイント、教材の種類やそれらを用いてどのように計画を立てていくかについて講義が行われました。さらに、グループに分かれてテーマを決め、村人を集めて実習も行いました。慣れていないせいか、大勢の人を前に恥ずかしがる職員もいましたが、写真を見せたり、質問したり、ゆっくり話したり、どのように話せば相手により伝わるかを考えながら取り組んでいる様子が印象的でした。もちろん、健康教育は一度で上手になるほど簡単ではありません。しかし、この研修を通じて、これから始まる活動に向けて、少し自信がついたような職員の顔を見ると、私たちも全力で彼らを支え、住民の健康に寄与したいと感じました。