保健医療経営大学・聖マリア学院大学スタディツアー

今年度より保健医療経営大学・聖マリア学院大学合同スタディツアーの受け入れを2011年8月13日~18日で致しました。参加者は保健医療経営大学2名(学生1名・引率1名)、聖マリア学院大学3名(学生2名・引率1名)でした。以下参加された学生さんの感想をご報告いたします。

ISAPH 事務局

スタディツアーで学んだこと

今回、保健医療経営大学の海外フィールドワークで、ISAPHが企画したラオスでのスタディツアーに参加し、地域の保健局から国レベルの医療機関まで見学することができた。ここでは、医療情報の取り扱いの視点から感想を述べる。 タケク市内にあるカムアン県病院では、乳幼児の身長や体重などの発育状態を記録する現場を見学したり、病院長から医療の質を上げるという中長期目標を伺ったりした。しかし、乳幼児の発育状態を記録する際、44cmを40cmといったように身長を1の位で四捨五入するなど医療情報が雑に取り扱われていると伺った。また医療の質については、医療機器を揃えることが医療の質の向上だと考えられており、患者満足度などの医療の質を評価する指標が使われていない。そもそも、そのような指標自体が存在しないようであり、日本と異なり、どのように病院管理を行っているのか疑問に思った。このように、医療情報が正確に取り扱われていないため、医療事故などのトラブルを発生する危険性があるのではないかと危惧する。さらに、正確な情報や指標が無いため、病院管理が難しいのではないかと思う。今後、長期的に医療機関の運営を行うためには、医療従事者がより正確に医療情報を集め、医療情報の評価指標をつくり、医療の質を向上することが必要なのではないかと感じた。

今回のスタディ・ツアーでは、ラオス国での看護師の現状を肌で感じることができた。県病院や郡病院においては、患者が入院すると患者の世話のために家族で病院に住んでいるような状況で、病院の敷地内には村から一緒に連れてきた家畜が数多くいた。ラオス国の医療の主な担い手として看護職の役割は大きく、特に地方に行くにつれその業務範囲は拡大し、ヘルスセンターでは、准看護師が診断、処方、お産の介助までも行っている現状であった。マホソット病院でICUを案内してくれた看護師は日本での研修の経験もあり上手な日本語で案内してくれた。まだまだ学びたいとやる気に満ち溢れていた。他国の支援が必要な現状のなか、国際協力の支援と彼女たちのやる気で大きく成長していってほしい国だと感じた。最後に、聖マリア病院の旧白衣が、今回見学した県病院と郡病院に寄贈されており、「私の白衣を着た看護師に会えるのでは」と期待していた。残念ながら私の白衣を着た看護師には会うことはできなかったが、郡病院でLLサイズの旧白衣を着たスタッフと交流でき嬉しく感じた。

保健医療経営大学  宮地宏昭

乳児の体重を測る看護師さん

ISAPHラオス活動地域を訪問して

今回のスタディツアーに参加し、文化の違いを感じた。また、今回は災害に直面し、被災した人々と触れ合うことができ、助け合う心や思いやりについても考えることができた。

当初の予定では、カンペータイ地区でのISAPHの活動や乳幼児健診などを見学する予定だったが、洪水の影響で行くことができなかった。しかし、避難されている住民を訪問することができた。この訪問で物資を届けるための県や郡の保健局の職員の皆さんの活動、避難所で1週間経過した住民の生活を見て、今後、栄養不足・不衛生な状況での生活の中での集団感染が流行する恐れが予想された。しかし、とても厳しい環境で生活されているはずなのに、笑顔で私たちを迎えてくれたことに感謝を覚えると当時に感動した。自分たちの厳しい状況を考えたら、外から来た私たちに笑顔で接したり、気を遣ったりするのはとてもきついことなのに、健康教育においてもみなさん楽しそうにしっかりと聞いてくれた。とても礼儀正しく、家庭での教育が行きとどいているのだなと感じた。

健康教育の中で、郡の保健局の医師が住民の生活の特性を踏まえて、今食べ物がないからといって腐ったものを食べると下痢につながることなどを説明しており、住民に予防について伝えることの重要性を学んだ。また、この地域では自給自足で農業に従事している生活の中で、外で用を済ますことが多い。家にトイレがない、もしくはトイレでする習慣そのものがない地域も多い。濁った水の中で泳いで遊ぶ子どもたちも見られたことより衛生面の改善、上下水道の整備、手洗いの習慣化は必要であると考える。手洗いなどを習慣として身に着けるためには、繰り返し、根気よく、わかりやすく、日常生活に密着した内容での健康教育が効果的であると考える。

また、開発途上国における特徴とも考えられるが、医療においても国民の意識が低く、病院に行くことを好まないこともあるため、病院にいく必要性や病気についての教育を行うことや村の健康ボランティアがもっと増えるように整えていく必要があると感じた。

今回のスタディツアーでは、洪水により稲は水没し収穫の見込みがなく、牛や豚は流され、現在も生活するのもきびしく、今後の生活の目途も立たない中、家族が寄り添い、人を思いやりながら生活している姿を見て、助け合いの精神や物の大切さを改めて感じた。また、ラオスの文化・習慣も学んだ。ラオスでは、亡くなった人の魂は亡くなった場所に帰るという言い伝えより、病院で死を迎える前に、家へ連れて帰る。また、病院にかからない理由の1つに現金収入が少ないことや、アクセスするのにもお金がかかることも考えられる。そのため、県病院の乳幼児健診、予防接種、妊産婦健診が1度に行える工夫によって受診率増加、母子の健康保持増進につながると考えられる。

現地の設備が不足している看護学校で看護師を目指す同じ学生をみて、学校の設備が整っているのはもちろんのこと自宅にもインターネットがあって当たり前の日本で勉強ができることに感謝しなければならないと感じた。

聖マリア学院大学  看護学部 看護学科   大関 千尋
出澤 紗梨衣

健康教育を行うようす。大関さん(右)出澤さん(左)