2014年3月29日に東京外国語大学で開催された第3回日本ラオス研究大会へ参加しました。昨年は聖マリア病院国際事業部の浦部部長がこの研究会へ参加され、ISAPH の活動を通して浮き彫りとなった、ラオスの保健衛生事情、食物タブーなどの地元住民の習慣とそれらの習慣との関りで発生している乳児の栄養問題やビタミンB1 欠乏症による乳児の死亡について報告されました。またISAPHがそれらの問題を改善するために取り組んだ活動内容についても併せて発表されました。
今回、私は昨年度ISAPHが実施した①便検査、②駆虫薬投与、③腸管寄生虫感染予防についての健康教育を柱とした寄生虫感染予防対策プロジェクトについて発表を行いました。発表後は、参加者の皆さまから様々な質問やご意見をいただきました。腸管寄生虫の感染経路についての質問を通しての意見交換では、参加者の多くはタイ肝吸虫が川魚の生食によって感染するということを認知しているようでしたが、鉤虫感染経路については知らない方が多かったように感じました。その他に、「ラオス政府が実施している年2回の駆虫薬投与活動では住民に金銭面での負担はあるか?」という質問もあり、駆虫薬はWHOからラオス側へ提供されているため、住民が駆虫薬の料金を支払う必要はないものの、県保健局や郡保健局に駆虫薬投与活動を実施するための資金がなければ、活動が行われないため駆虫薬を飲むことができないという問題があることを説明しました。
この研究大会では、医療分野のみならず多岐にわたる分野からの発表や報告がされています。特に、今回の特別講義「ラオスを理解するための政治・経済の基礎知識」では普段、ラオスに居ながらもなかなか知ることのできない政治・経済状況を分かりやすく講義していただき、基礎情報ながら重要かつ貴重な情報を得ることができ、私にとって大変有意義な会となりました。
ISAPH LAOS 楾 清美
ラオス国保健省から発行された、川魚の生食をやめるよう呼びかけたポスター
タイ肝吸虫の駆虫薬(プラジカンテル)を服用している様子