ISAPH LAOS 活動紹介

ISAPHのラオスでの活動も、2年半が過ぎました。今回は、これまでに行った主な活動以下5点について報告したいと思います。
  • VHV(Village Health Volunteer)研修
  • 妊産婦健診研修
  • モバイルクリニックとGrowth Monitoring
  • 乳幼児の栄養問題への取り組み
  • 衛生的な水の提供

VHV(Village Health Volunteer)研修

各村の保健関係を担当する係りになっているVHVに対して、以下の研修を実施しました。
  1. 5歳以下の乳幼児の体重測定(Growth monitoring)栄養教育
  2. 予防接種と健康教育
  3. DRF(医薬品回転資金制度)・村で多く発症する主要疾患
  4. 妊産婦・新生児・乳児死亡・妊産婦死亡の登録

妊産婦健診研修

ラオスの村落部ではほとんどの産婦さんは自宅で家族や伝統的産婆さんの介助で分娩します。妊産婦健診も受けておらず、出産後まもなく死亡してしまう乳児が多くいます。

乳児死亡・妊産婦死亡を減らすために、村落部でも妊産婦健診を受け、ハイリスクの産婦さんには病院での出産を指導していくよう、ヘルスセンター職員に妊産婦健診と分娩介助の研修を受けてもらいました。

モバイルクリニックとGrowth Monitoring

ヘルスセンターがある地区ではヘルスセンター職員と共に、ヘルスセンターが無い地区では郡保健局の職員と共に各村を毎月1回巡回し、5歳未満の乳幼児の身体測定・予防接種・妊産婦健診・家族計画指導と投薬・疾患治療・栄養、衛生、育児方法等の生活指導を実施しています。身体測定で低体重と判断された子供に対しては、家庭訪問をして生活環境や食事摂取状態の聞き取り調査等を行い、個別に母親に対しての指導を実施します。また、寄生虫などの疾患が疑われる場合は検便や病院での診察を行うよう指導します。

村を巡回した際には、1歳未満の乳児登録・妊産婦登録・妊産婦/乳児死亡登録も行っており、死亡した乳児や妊産婦に関しては死亡原因の検索を行います。

乳児の栄養問題に関する取り組み

2004年度、41人生まれそのうち24人死亡するという、乳児死亡率が高いとされているラオスにおいても異常に高い乳児死亡率を示した村がありました。

聞き取り調査によると、感染症で亡くなった子供も多いのですが、「急にお乳を飲まなくなり、泣いて、泣いて次の日には死んでしまった。」と訴える母親が多くいました。その他共通する症状もあり、各方面の専門家の方々からアドバイスをいただき、乳児ビタミンB1欠乏による死亡と仮定し調査を実施しました。

その地区で1歳以下の乳児を持つ母親から聞き取り調査を実施、また血液・母乳のビタミンB1含有量調査を実施しました。

結果、血液・母乳共に日本人女性のビタミンB1含有量平均値をはるかに下回っており、その原因のひとつとして、妊娠中・出産後のFood Tabooが関係していることが分かりました。

現在、私たちはその地区にも拠点を置き、Growth Monitoring や母親への栄養指導を実施しています。Food Tabooは、根強い風習のためすぐに変えることはできないため、妊産婦とFood Taboo が多い出産後3ヶ月までの母親に対して栄養指導を実施しながらもビタミンB1サプリメントの投薬を行っています。

また、Food Tabooはその地区独自のものではなくラオス国内全般的なものであるため、他の地区でも同様の問題があると考え、ラオス保健省(厚生省)への問題提起も行っています。

衛生的な水の提供

健康を保つためには衛生的な水は必要不可欠ですが、村落部では下水道は完備されていません。そこで村人は川の水や井戸を掘って使用しています。雨季になると井戸には泥水が流れ込み、家畜の糞尿も混入してしまいます。そこで、村人から強い要望が上がっていたカンペータイ地区コクトーン村の井戸に雨水の流入を防ぐために素彫りの井戸にコンクリートリングをはめ込みました。さらに屋根・家畜の侵入を防ぐ柵を取り付けました。

しかし、浅掘り井戸であるため飲料としては適しておらず、村人たちが井戸水を沸騰させて飲むなど適切な使用方法の指導が現在の課題となっています。

ISAPH LAOS