マラウイ「子どもにやさしい地域保健プロジェクト」に参加して
本年7月から約1カ月間、アフリカ南部のマラウイ国(以下、マ国)で、JICA草の根技術協力事業の支援を受け、NPO法人ISAPHが聖マリア病院と共同で実施している『子どもにやさしい地域保健プロジェクト』に、現地での母子保健/乳幼児栄養に係る活動の把握と実施を目的として派遣されました。本プロジェクトは、マ国北部に位置するムジンバ県の対象地域(Edingeni Health Center所管の26村の住民約15,000名)における5歳未満児(約2,500名)の栄養状態の改善を目的とし、2013年5月から3年間の予定で実施されています。主な活動内容は対象地域から8村を選定後、各村から5歳未満児を持つ母親グループリーダーを選出し、まずその母親リーダー達を対象とした栄養・衛生・健康教育を行い、その母親リーダーが村の住民だけでなく、最終的には対象地域の未教育村に『こどもの栄養について』を教育出来る知識を身につけることを目標としています。この地域は、食材の確保は比較的可能ですが、経済的困窮に伴う栄養の絶対量が不足していることに加え、栄養バランスのとれた食事の摂取という点が重要視されていない現状にあります。実際に現地の人達は、トウモロコシの一種であるメイズを用いたシマを主食とし、青菜や豆などの副菜を1日2回食べる食習慣がありますが、タンパク質の摂取量が少ない事が指摘されています。我々から見てバリエーションに乏しい食事内容も、現地の人達にとっては、それが長年続いて来た食習慣であるため、そのことに問題意識を感じているようではありませんでした。その中で、調理実習で現地の食材を用いて作った料理が物珍しかったのかもしれませんが、子供たちが我先にと奪い合うようにして食べている姿を目の当たりにし、栄養改善のための教育と並行して、実際に食事を提供することで本当に発育が得られるかどうかの評価として、調理実習そのものをイベント化し、定期的にバランスの取れた食事を提供することを考え、これを提言しました。
これまでマ国は先進国からの物資や技術援助を受けて来ており、住民達は与えられることを当然のように受け止めており、我々の立場からすると問題点が山積みの中、主体性をもって問題解決に取り組もうとする姿勢は見受けられませんでした。このような現状において、これまで脈々と受け継がれてきた彼らの文化が、本プロジェクトの根幹をなす教育により、どれだけ住民達の行動変容に繋がるかどうかは、その効果が得られるまでに時間はかかると思われますが、単純に物資や資金を提供するなどの安易な方法ではなく、教育を以て最終的に彼らの自立を導こうとする方針はとても共感出来るものでした。
主食である「シマ」(右)。味はあまりなく、「ういろう」をソフトにした食感
研修に参加した母親グループリーダー達との記念撮影
聖マリア病院 新生児科 岡田 純一郎