山梨県立大学スタディツアー

2018年2月12日~17日に、ISAPHラオス事務所にて山梨県立大学のスタディツアーの受け入れをいたしました。参加された方から感想文を頂戴しましたのでご紹介いたします。

ISAPH 事務局

ISAPHラオス事務所訪問、活動見学からの学び

昨年に引き続き今年も参加させていただき、更にラオスでの医療の強みや課題を学ぶことができました。支援をしていく中では、時間をかけて信頼関係を作りながら現地のニーズと支援側の譲れない部分とをすり合わせていくことによって、その国・地域に合った支援となることが分かりました。そのためには医療だけでなく環境や農業など様々な分野からの支援が必要であり、更には現地の方の理解や参加が必要であるということを感じました。

病院見学を通して、医療廃棄物の分別処理や清掃を行い土足禁止の部分を作るなど、現地スタッフの方の清潔や衛生に対する意識が昨年と比べて根付いてきていることを感じ、このように少しずつでも成果が目に見えてくることで、支援の必要性を改めて実感しました。しかし、現地の人はなかなかその変化に気づきにくいために、長く支援が入っていても必要性や成果を感じにくい場合もあります。そのためにも、数値や写真などによって成果が「みえる化」していくことが大切であると学びました。

今回の研修を通して、支援の大変さと同時に楽しさを実感することが出来ました。今の自分には何ができるのかを、勉強・仕事の際に考えながら実践していけるようにしたいです。このような学びの場を設けて下さり、ありがとうございました。

山梨県立大学看護学部 上原 みすず

サイブートン郡病院の様子(2017年)

サイブートン郡病院の様子(2018年)

ISAPHラオス事務所訪問・村での活動見学を通して学んだこと 

今回、ラオススタディーツアーの一環としてISAPHラオス事務所で活動についての講義を聞き、翌日、村でのアウトリーチ活動・村の様子を見学しました。

特に、「文化の違い」の壁の高さを実感することが出来ました。講義で、乳児死亡率が高いことの背景には、地域の古くからの風習・伝統的な背景(食事タブーやモッカオ)が影響していることもあると学びました。翌日、村の住宅を訪問した時にモッカオに使われたお皿があり、このような風習が現在も続いている事実を実感しました。これ以外にも、住民の暮らしの中での文化の違いをいくつも感じましたが、もちろん、地域の風習や伝統はその地区の特色であり歴史でもあるので理解・尊重したいと思う一方、健康状態を考えると決してよいものとは言えず、このような文化と、看護としての健康について譲れない視点との両者に挟まれてアプローチを考えていくことは本当に難しいことなのだろうと思いました。文化の違う場で支援することは、どこに線引きをして支援していくのかを常に考え続け、その支援が住民にとってメリットをもたらすのかにも視野を広げ、活動を進めていかなければならないものであると考える事が出来ました。

以上のように文化の違う国での支援の在り方について実際の体験とともに学んだことは、日本での看護の考え方にも共通します。患者さんの文化(これまでの生活や思いなど)と、看護としての大切な点の両者を考え、一人一人にあった看護を考えていくということにつながります。看護職として日本で患者さんと向き合う際にも、ここで学んだことを活かして看護のあり方を考えていきたいと思います。

貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。

山梨県立大学看護学部 大森 妃奈子
村の住民の生活環境 台所の様子

村の住民の生活環境
木でできた住宅

村の住民の生活環境
部屋の中の様子

ISAPHの活動の実際を知って

2月14日、ISAPHラオス事務所を訪問しました。活動についての講義を受け、ISAPHの成り立ちから活動の実際について、事例を交えながら具体的なイメージを膨らませながら知ることができました。

ISAPHでは、パートナーシップと技術支援によって保健医療の向上を目指した取り組みを実践していました。健康問題に対して改善策を考える上で、村の文化や習慣は現地に行ってみなければわからないことが多く、生活習慣と病気・健康問題の関連性を見ていくことが大切であることを知りました。細菌や見えないものについて、十分な教育を受けていない住民には理解が難しく、教える側の伝え方にも工夫が必要なことがわかりました。良くない点について「ダメ」と言うのではなく、村の人々の生活や考え方を尊重しながらも、医療従事者として譲れない大切な視点を、わかってもらえるような伝え方、関わり方が重要であることを知りました。

医療面での支援だけではなく、住民が正しい知識を持つこと、村の協力体制が整うこと、貧困や社会保障への対応を図ることも重要なことだと分かりました。そのためには、支援する側が一生懸命になるだけでは何も変わらず、どのような生活を送りたいか、どうなりたいかを共に考え、ラオスの人々が自分たちで行動するように促すことが大切だということが分かりました。そこをサポートしていくのがISAPHの大きな役目であると感じました。病気を治すのではなく、病気を未然に防げるよう、村で起きている現状を把握しアプローチしていくことが非常に大切であることを学びました。

翌日、村でのアウトリーチ活動を視察しました。健康教育では写真を見せ、子どもから大人までが興味を持ちながら話が聞けるような工夫が図られていて、人々の目はとても輝き、住民参加型の健康教育になる工夫がされていました。放送を流すと村の各地から多くの住民が集まり、自分の健康や生活について考える機会になっていました。住民にとって、このような定期的に学べる環境があることは大切で、継続的に活動を行うことで、住民との関係性がさらに強くなり、「この人がいるなら行ってみようかな」という思いから、少しずつ病院受診へとつなげることができることを学びました。

現地でお話を聞かせていただき、また、活動を見学させていただく中で、貴重な体験をすることができました。本当にありがとうございました。

山梨県立大学看護学部 勝俣 美空

村での家庭訪問

村でのアウトリーチ活動

地域への支援でも…

ISAPHの活動から、当該の国の政治や他国との関係といったことについてよく知り、それが国民の生活や思想にどのように影響しているのかを理解し、そのうえで、支援する地域の地形・都市へのアクセス状況・住民の考え方・生活スタイルを、観察していくことが支援の重要なポイントであると学ぶことができた。

また、その地域の課題を踏まえた上で、支援の方向性・何を達成させるか目標を立てることで、その地域への関わり方が明確になり、支援を充実させることができるのだと知ることができた。例えば、国際協力のシステムとして、コミュニティの範囲ごとに、国や郡の政策を十分に利用できるように支援していくことがあるが、小規模のコミュニティのある村では、具合が悪いときや、出産の際には病院へいくという習慣がなく、政策による病院のサービスを受ける以前の問題を抱えていた。そういった場合、少しでも、病院の良さを知ってもらい、病院に行くことで安心できるという考えをもってもらうために、定期的に訪問し、健康診断などを行いつつ、病院について知ってもらうという活動が重要であった。

したがって、国際協力をするにあたって、その地域を支援するまでには、その地域に関わるいろいろな事情を知り、また、その地域に住んでいる住民の生活形態・思考方法を知ったうえで、課題をとらえ支援の目標を立てていくことが、良い支援の土台となることを学ぶことができた。

山梨県立大学看護学部 金木 友里

ISAPHの活動を見学して学んだこと

ISAPHの活動について学び、ISAPHが住民参加型の支援を行っていると知りました。実際に村を訪問し、住民のニーズを把握して活動していました。サイブートン郡の村に行き、ISAPHの実際の活動を見た際には、健診は現地の医療従事者、ボランティア、女性同盟の方が中心となって行っており、現地の人の技術向上と継続可能な支援を行っていることがわかりました。また、現地の医療従事者の技術が向上すると、住民と医療従事者との信頼関係が築きやすくなります。住民の中に医療者に見てもらえることの安心感が生まれることで、病院を受診してみようと思い、受診率の向上につながります。このような技術支援は、受診のきっかけづくりにもなるのだと学びました。健康教育の中で学んだことは、対象のライフスタイルに沿って健康教育を行うことの大切さです。例えば、農繁期には人が集まりにくいため、教育を行う前に音を出して知らせるというプランを追加していました。乾季には、男性が出稼ぎに行っていて集まらないため、女性を対象とした教育を行っていました。ライフスタイルに沿って内容を決定することは、対象のニーズを把握した援助といえることがわかりました。そして、対象のニーズに沿った援助は、教育の効果も高めることにつながると感じました。

山梨県立大学看護学部 近藤 早希

人に寄り添う健康活動

今回のラオス研修では多くの場所を見学することができたため、それぞれを比較して考えることができた。その中でも、村でのISAPHの健康活動が印象に残っている。

日本では当たり前になってしまっている子どもや妊婦の健診は、ラオスの人々にとっては新鮮ではじめのうちは必要性を感じている人は少なかっただろう。そのような状態から実際に経験してもらうことを大切にして取り組み、現在では自然と人が健診に集まる仕組みができあがっている点に驚いた。また、健康教育もその村の生活スタイルに合わせた内容にしてあり、寄り添った支援だと感じた。今までの私は対象者の話を傾聴して看護に反映させることが寄り添うことであると感じていたが、それだけでなくその人や国、村の歴史や風習を把握して関わっていくことも寄り添うことにつながることが分かった。

また、子ども達と交流をしたときに子ども達はいろんなことに興味津々であった。子ども達の好奇心は、様々なことを吸収する力の源である。ラオスにはゴミをポイ捨てしてしまう習慣があるが、私たちがゴミを拾っていると真似して一緒に拾ってくれる子どもがいたように、子ども達の関心を引くような取り組みをすることで、子ども達が自然と良い習慣を身につけていくのではないかと思われた。

ラオスでの活動は1人の患者さんを理解することと同じである。大学や病院での学び1つ1つが国際協力を行う時の力になる。これからもより多くのことを学んでいきたい。

山梨県立大学看護学部 笹本 明里

スタディツアーへの参加を通して

私は、今回のスタディツアーが初めての国際協力に触れる機会でした。実際に現地でISAPHの方々や現地で健康活動を行っている人達からの話を聞き、その現場を自分の目で見ることができ、自分にとってかけがえのない経験になったと思います。スタディツアーでは、最初の2日間をビエンチャンで過ごし、その後タケクへと移動しました。その際、ビエンチャンとタケクの差にとても驚きました。都市と地方とで差があるということを理解はしていたつもりでしたが、ビエンチャンから離れるにつれて、舗装されていない道路が増えたり、粗末な作りの家が増えていったりと変化が大きく、一つの国の中でこれだけ環境が違うのかと驚きました。

今回私はISAPHの事務所や保健指導の見学を通して、草の根の支援の大切さを学びました。そして支援をするときには、ラオスのこれまでの歴史や、ラオスの人々の国民性、文化、慣習、政治、環境など様々なことが密接に関わっているため、これらのことを知った上で関わることの大切さというのも今回の研修を通してとても感じました。母子保健の環境にも様々な分野が密接に関わっているため、多角的な視点でその問題を見てアプローチすることが必要だと学びました。

今回の研修ではとても貴重な経験、学びをさせていただき、本当にありがとうございました。

山梨県立大学看護学部 清水 彩花

ISAPHの活動の実際についての感想と学び:支援の在り方

今回、ISAPHの研修で村での保健活動を見学させていただきました。実際に村で妊婦さんの話を聞いたり、子どもたちへの健康教育として写真を使って説明している姿を見学したりさせていただきました。そこからISAPHの活動では人材や環境作りに力を入れていることが分かりました。実際に活動をするのは現地に住むラオス人の方々でした。もしも、物資を供給することだけが支援だとしたら物をあげれば相手は喜ぶし自分も嬉しいと思います。しかし、本当の意味でそれだけが支援につながるのでしょうか。住民への実感がなくても少しずつ行っている活動の意味を見出してもらうことも大切であり、10年後、20年後に現れる変化も予測して支援することは非常に大変で、物資を一時的に与えるよりも、ずっと重要だと思います。確かにお金も負担もかかりますが実感はしづらい。それを分かった上での支援は難しいと思いますが、彼らの生活が本当の意味で主体的に変化して行くには必要不可欠なことだと思います。それを先進国が理解し、物資の支援と並行、共存し、それらの兼ね合いを考えないといけない。私たちは支援をしていく上でそのあり方についてもう一度考え、その国の未来や暮らす人々の未来に責任を持つべきであると改めて感じました。

山梨県立大学看護学部 高室 華蓮

ISAPHの活動視察を通して学んだこと

今回、ISAPHの活動を視察する中で、草の根レベルで粘り強く支援を続けることの重要性と難しさを学んだ。特に村でのISAPHの活動を視察する中での学びは大きかった。

妊婦健診の場面に出会ったが、そこには母子の健康状態の把握だけでなく、妊婦に安心感を得てもらい、受診行動につなげる目的もあると話を聞かせていただいた。そこから、妊婦、住民の今の健康状態だけでなく、将来の姿を見据え、寄り添ったアプローチを考えていく重要性を学んだ。

健診により、病院への受診につながる事例もある一方、受診したい、病院で分娩しようという気持ちがあっても、病院へ同行する人がいない、天候、交通手段の問題により、病院で分娩できない事例もあることも知った。意識付けはできても周囲の環境によって実際の行動変容につながらない難しさがある。環境は地域の気候、風習、文化、家族の経済状況などさまざまであり、簡単に変えることはできない。だからこそ、そこにどのようにアプローチしていくのか、粘り強く長期的に住民と向き合い、考えていくことが必要であるが、同時に長期的取組であるがゆえに成果が見えにくい難しさもある。

ISAPHが草の根レベルで長期的に支援する意味が理解でき、自分はどのように支援をしたいか、考えるきっかけとなった活動視察であった。

山梨県立大学看護学部 平野 朋香

本当に大切なものとは

今回ISAPHさんに主催していただいたスタディーツアーに参加して学んだことはたくさんありました。そのほとんどが現地に行かなければ感じられないことだったと思いますし、母子保健に興味のある私にとっては衝撃的なことの連続でした。

私が最も考えさせられたことは、文化の違いについてです。ラオスの文化のひとつとして「モッカオ」というものがあります。もち米を母親が口内で柔らかくし、乳児に与えるというものです。乳児の生体機能を考慮すれば危険な行為であることは間違いありません。また、仏教思想が強いことから輪廻転生の考えがあり、助かりそうにない命は来世への転生を期待し蘇生処置を行わないという話を聞き、大きな衝撃を受けました。

これらは“日本人の感覚からすると”ありえないことです。しかし、現地の人たちにとってはこれが文化であり、歴史なのです。文化は守られるものであるべきだし、歴史は尊重されるべきものです。一方で、ひとつの命でも尊いもので軽んじられるものではありません。私はこの矛盾に大きな壁のようなものを感じるようになりました。「文化」と「命」を天秤にかけた時どちらに傾くべきなのか。そもそも、同じ天秤にこの二つを乗せなければいけない状況でよいのか。本当に大切なものとは。今回、初めて異文化にじっくり触れることで、今まで考えたこともないことについて考えを深めることができました。本当に良い経験をすることができました。今回の経験を今後の学習に密に繋げていきたいです。

山梨県立大学看護学部 松原 礼

ISAPHの活動から感じたこと

今回ISAPHの活動についての説明と実際にどんな活動をしているのかを見学させていただいた。まず、活動紹介をしていただいたときに、目標として「草の根レベルの国際協力」というキーワードを挙げていた。それが自分の中で具体的な表現が出来なくて、次の日の活動見学でどういったものなのかを学びたいと考えていた。実際に村の子どもたちの健康教育の様子を見たり妊婦健診を見学したりして活動全体が地域の人たちに近い存在で行われていることにとても魅力を感じた。子どもたちの普段の様子が分からなければ、子どもたちにとって身近にある食材がどのような役割を果たすのか伝えることはできないし、子どもたちの事も理解出来ないままになってしまう。村の人たちのそばで活動するからこそ、どういった教育の仕方が一番有効的なのか、どうすれば多くの人に伝わるのか、そういった考えがあるから健康教育にみんなが参加するようになっているのだと感じた。また、村の人たちもいつも活動にきてくれる人たちだと安心感も湧くし、実際にお話しさせていただいた村の方は、「ISAPHの活動によって子どもたちの健康状態を知ることが出来て嬉しい」とおっしゃっていた。私は国際協力とは物の支援や技術・寄付などだと思っていた。でも、草の根レベルの国際協力は小さな事でも住民の人たちに一番必要なことを直接、また一緒に考えながら活動していくもので、その活動が必要不可欠な基礎となる支援であると理解出来た。

活動を通して子どもたちの笑顔もたくさん見ることが出来てよかったです。貴重な経験をありがとうございました。

山梨県立大学看護学部 山下 真穂