東京医科歯科大学スタディツアー

2016年8月22日~26日に、ISAPHラオス事務所にて東京医科歯科大学のスタディツアーの受け入れをいたしました。参加された方から感想文を頂戴しましたのでご紹介いたします。

ISAPH 事務局

スタディツアーで学んだこと

今回のスタディツアーを計画してくださり、ありがとうございました。スタディツアーを通して考えたことは、2つあります。1つ目は、地域と協力して行うことの重要性。2つ目は、ISAPHのようなさまざまな保健医療に携わる団体が連携をして支援する必要性について考えました。

見学させていただいた、サイブートン郡での地域保健活動では、1歳未満の赤ちゃんをもつお母さんを対象とした栄養指導と赤ちゃんの身体測定・ワクチン接種などを行っていました。事前のオリエンテーションで、ISAPHは最初に、地域の保健局職員に教育を行ったと伺いました。ISAPHが保健活動の運営をすべておこなうのではなく、地域の保健局・住民と協力し合うことで、ISAPHがサイブートン郡での保健活動の支援を完了したあとも、地域住民が主体的に活動することが可能になると思います。

保健衛生・医療活動の支援には地域での診察・予防接種の支援、病院設立の支援、国の保健・医療制度に携わる支援など、たくさんあると思います。JICAを訪問した際、日本だけではなく様々な国がラオスを支援していることも知りました。ISAPHは地域の保健活動支援に力を入れていて、JICAはラオスの保健・医療に関する法整備の支援を行っていると学びました。それぞれの団体が違う視点をもって活動することで、ラオスを包括的かつ効果的に支援することができると気づきました。さらに、様々な国の団体と連携をとることで、ラオスに幅広い支援を行うことができると思いました。

今回スタディツアーを通して学んだことを将来に活かしていきたいと思います。ありがとうございました。

東京医科歯科大学 伊藤 絢乃
サイブートン郡の村の集会所

医療と国の関わり方

今回のスタディツアーを終えて、日本では知りえない学びが多くありました。ネットや書籍でも開発途上国の医療について学ぶことはできますが、最新の現状をお聞きすることができたり、実際に目の当たりにすることができたのはツアーならではと感じます。ラオスは多民族国家であり、様々な人に対する支援が必要であること、途上国では英語が通じないため、現地の言葉を習得する必要があるということ、しかしアカデミックな場面では英語で行うということなどをお聞きしました。実際に見て感じたことは、開発途上国では、多くの地域に十分な医療が行き届いておらず、各地域を巡ることにより、多くの人の健康状態を管理することは国の人々の生活を支えることにおいて非常に効果的であると感じました。しかし、中には海外の医療に疑問を抱く人もおり、病院やヘルスセンターに人はそう多くありません。これは、長い期間で支援を続け、効果を実証し、医療を浸透させていくほかないと思います。

東南アジアに対して感じた印象としては、ここ数年で目覚ましい発展を遂げているということを実際に感じました。おそらく、現時点では道路の整備も中々されておらず、物流も思うようにいっていないところもありましたが、10年近くの年月が過ぎれば、かなり改善され、物流がスムーズになれば、急速に発展が進むと考えました。そうして、東南アジアが世界の中で大きな市場、力も持つようになれば、世界の中での構図も変わってくると思います。医療、保健活動は人の健康を維持することであり、そうした国の発展を支える重要な活動であると思います。ISAPHは、医療を通じ、国の発展に関わる活動をしていると感じました。最後に、貴重な体験をさせていただき、本当にありがとうございました。

東京医科歯科大学 町田 駿介

ISAPHラオス事務所にて、ラオスについて学んでいるところ

ISAPH の活動を通して学んだこと、感じたこと

今回の研修ではISAPHを含め、3つの日本から来た、NPO及びNGOの団体を見学させて頂いた。その3つの中でもISAPHは地域保健を住民主体型で行っていた。私は、看護師になろうと思ってからずっと地域保健に興味を持っていたため、ISAPHのこの活動は見てみたいと思った。しかし、今回介入させて頂いたサイブートン郡の村は初めてモバイルクリニック活動に行く村だと聞き、受け入れてもらえるだろうかと心配だった。なぜなら、初日に行った別の日本のNPOの団体の皆さんの活動の中で、日本の医療があまり受け入れられていない姿を目撃したからだった。また、初めて介入するということだったため、住民もどんなことを教えてくれるのか分からず、最初は警戒するだろうと思ったからだ。だが、実際には思っていたより住民の皆さんが非常に意欲的で驚いた。集会所には続々と人が集まり、皆さんが真剣に、そして楽しそうに保健指導を聞いていた。その村の皆さんに直接感想を聞くことは出来なかったが、住民の皆さんはISAPHの皆さんが来るのをこころ待ちにしていたのではないかと感じた。ラオスの皆さんは医療や公衆衛生に関する知識が少ないだけで、本当はもっと良い医療を受けたいと願っている人も多いのかもしれないと思った。そして、郡病院に行った時には、医療を受けたい住民と供給が一致していない現状を目の当たりにした。郡病院には最新の機材はあるものの、ほとんど使っていないようだった。また、入院患者さんも外来の患者さんも非常に少なかった。やはり、道路状況が大きく関係しているようだった。だからこそ、モバイルクリニックを行うことは医療を必要とする人に医療を届ける手段となるし、また医療者の技術を向上させることもでき、サイブートン郡にあった医療形態なのだと感じた。

東京医科歯科大学 廣野 礼菜

ラオス研修にて学んだこと

今回ISAPHさんのスタディーツアーに参加させていただき、学ぶことが多く大変勉強になりました。活動の中で、タケクにて県の保健局、病院を訪問させていただく機会がありました。それ以前に首都であるビエンチャンでの医療活動を見ていたので日本との比較だけでなく、国内に存在する地域格差を目の当たりにすることができました。ラオスでは国全体として医療者の人材、住民の知識、医療施設が不足していると伺いましたが、都市から離れるにつれその問題は大きくなっているなということを感じました。また、看護学校に伺わせていただき先生、学生の方々に日本について英語でのプレゼンテーションを行い、学校の先生からも看護学校についての説明をしていただきました。この機会は日本を知ってもらえると同時に、私達がラオスの看護学校の状況を知ることができる良い機会だったと思います。また、活動の最終日にサイブートン郡に片道2.5時間をかけて向かいましたが、その道はまだ舗装がほとんどされておらず険しい道のりであったため、地方に住む方が病院に行くのをためらう理由がよくわかりました。現地での母子保健活動はその村で初めて行われたそうですが、郡の保健局の方だけでなく、住民の方も明るく積極的に参加しているように見えました。このような活動のおかげで、人々がより健康に暮らしていけるようになるのだなということを実感し、すばらしい活動だと感じました。現地での活動を見学させていただく中で、ISAPHの方が来てくれたおかげで今まで病院に来ていなかった人も病院に行くようになったというお話を現地の人から聞くことができました。そのお話を聞いて、使っている言語も育っていく環境も異なる国であってもこうして繋がることができ、感謝されることができるのだと感動しました。そして、私も将来、国境を越えて人々のためになり、人々から必要とされるようになりたいと強く思いました。今回のツアーに参加させていただいて得たものは、今後の人生で大きな糧となると確信しています。この企画を行うにあたってご協力いただいた皆様に大変感謝しております。ありがとうございました。

東京医科歯科大学 曾根田 ますみ

サイブートン郡の村にて
母子保健活動が行われている姿を奥で見学しています

医療の発展のために必要なこと、海外で働くために必要なもの

8月26日はカムアン県の県都タケクからサイブートン郡へ、雨季でひどく荒れた未舗装の道路を四駆の自動車で2時間30分かけて行きました。この荒れた道の走行も大変強く印象に残っていますが、郡病院を見て一番驚いたことは患者がほとんどいないことです。ラオスでは道路状況が悪く、人々は各地に点在して生活しているため病院まで来ることが大変であることに加え、日本人ほど病気になったら病院に行くという概念が強くないそうです。患者数が少ないことはラオスの医師がラオスで経験を積むことができず、ラオスの医療の発展に足止めをかけている原因の一つになります。ラオスの医療を発展させるためには患者が病院にアクセスできるように道路状況の改善が必要という、医療に直接かかわらないこともしないといけないと身をもって学ぶことができました。

同日の夕食はISAPHの皆様とともに頂きまして、ISAPHの木村さんに自身の経験について語っていただきました。その中で最も印象に残っている言葉は、「NPOで働き始めることに始めの一歩が踏み出しづらいかもしれないけど、人生設計をしすぎずに、その時その時に興味が湧いたことをやればいい。」です。私は海外で働くと仕事しかできないのではと思っていましたが、木村さんは幼稚園のお子さんを育てながらISAPHで働いていました。興味とやる気があればできないことなんてないと、背中を押されたような夕食会でした。

東京医科歯科大学 呉 詩星

村の集会所前の道路状況。ラオスの田舎はこれが普通