2019/11/20

プロジェクトの進捗を確認する

ISAPHマラウイ 山本 作真

ISAPHマラウイの現地職員と
活動状況について情報交換

集落のリーダーによる栄養教育の様子を視察

低体重児を持つ家庭訪問の際、
対象児童の疾患を確認する松葉剛先生

グループ菜園の活動状況を視察

今回同行した早稲田大学4年生の
溝下さんと活動地域で出会った子どもたち

マラウイで2018年5月から実施している母子の栄養改善プロジェクトも中盤に差し掛かり、中間評価を控えて活動の現状の把握、今後の展開に向けた見直しの時期になりました。

2019年8月16日から26日にかけて、疫学が専門でISAPH顧問の松葉剛先生、ならびに国際栄養学が専門で長野県立大学准教授の草間かおる先生をマラウイに派遣し、プロジェクトの進捗確認と今後の活動についてご指導いただきました。また、プロジェクトの達成度合いを数値的に評価する方法や、その目標設定についても、改めて検討しました。

松葉先生とは、プロジェクト進捗の確認とモニタリング手法、例えば対象地域で低体重児を持つ世帯を家庭訪問した際のデータを分析する方法について、改めて現場で検討しました。

同じく草間先生には、前回の派遣からこの1年間で、活動地域の栄養問題がプロジェクトの活動によりどのように変わりつつあるかを確認していただき、現地の環境を踏まえて今後の活動の方向性やレシピについて示唆していただきました。

お二人には、現地でISAPHマラウイが実施している活動内容を一通り視察していただき、プロジェクト全体でその活動の果たす役割と期待される効果、その測定方法などについて、現地の職員を交えて検討しました。

プロジェクトの対象地域で実際に母親やその他の保護者に対して栄養指導を行うのは、ISAPHから指導を受けた集落ごとのリーダーになります。そのため、視察の始めにリーダーらが使用する保健教材の読み合わせや、実際に母親ら保護者への読み聞かせを行う活動を視察しました。読み聞かせで伝えられる情報の質や話題への興味関心の強さは話者の実力に依存してしまうため、例えばリーダー向けに関心を引く話し方を紹介した映像教材を作成すること、あるいは知識の定着には一対一の講話に拘らず、数名での寸劇や多人数での対話形式にしても良いのでは、などのアイデアが提示されました。

続けて、集落のグループで運営している菜園と養鶏を視察し、これまでマラウイの農村では全く栽培・消費されることがなかったニンジンやニンニクといった食材の栽培や、動物性タンパク質がほとんど摂取されていない現状を改善すべく導入した養鶏の現状を確認しました。これらは対象者たちの栄養源として期待されるだけでなく、他の食材を購入する収入源ともなります。

このグループ菜園で栽培された、これまでマラウイの農村で全く食べられていなかった食材は、集落ごとにグループで実施している調理講習会で活用されます。この調理講習会の活動にも参加し様子を把握しました。日本では離乳食として食材をすりおろしたものを幼児に与えることが一般的ですが、マラウイにはこれまで穀類をお粥にする以外に幼児向けに食材を加工する習慣が全くなく、食材だけでなく調理方法についても効果的な方法を導入したいとの意見が挙げられました。また、実際に各家庭で導入に至るためには調理者のみならず家庭内で発言権を持つ層に対してもコミュニケーションを図る必要があるだろうとの指摘を受けました。

地域の保健施設が毎月実施している発育状況を確認する乳幼児健診の視察では、一口に低栄養と言っても原因は様々で、発育状況の時系列変化からパターンを分類してどの様にアプローチすべきか、ご指導いただきました。例えば離乳食を始める時期から体重が伸び悩む場合、疾病による消耗、出生時からの先天的な場合など、事由によってそれぞれ対応策は異なります。

この乳幼児健診自体も、身長体重の測定や予防接種に参加する母子が200名前後と多数なのに対して地域保健員が3,4名と少なく、オペレーションの煩雑さで同保健員らが本来の業務に専念できておらず、また、参加者の待ち時間も長くなってしまうなど流れを見直す必要があるとの指摘を受けました。同時に、これだけ多数の対象者が毎月集まってくれる機会があるのであれば、前述した調理講習会で習得した食品を販売してレシピを紹介するなどの有効活用ができるのではないかとアイデアが出されました。

この乳幼児健診で発見された低体重児を持つ家庭に対し、ISAPHと地域の保健員とで協力して家庭訪問を実施しています。2019年に入って活動対象地域を拡大したことに伴い、低体重に該当する対象者も増え、限られたISAPHの人材で効果的に支援を必要とする対象を絞り込み運営する指針、あるいは介入前後でどの様に効果が表れたか客観的に測定する方法について意見を交換しました。

また今回、早稲田大学人間科学部健康福祉科学科4年生の溝下遼太郎さんが両専門家とマラウイに同行し、プロジェクト活動を見学しました。溝下さんは、国際協力に関係する職業に将来は進みたいという希望があり、国際協力の現場を経験したいということから、プロジェクトの見学をされました。

松葉先生と溝下さんは簡易的な社会調査の手法を用いて、プロジェクト対象地域で人々がどの様な情報源から保健に関する情報を得ているのか、ISAPHの現地職員と協力してデータの収集、分析を実施しました。結果、対象者の性別や年齢、学歴などによって差異はあるものの、概して現地の保健員やISAPHなどのNPO / NGOが最も信頼されている情報源であること、村落ではTVや配布物よりもラジオの影響力が強いことなどが明らかになりました。これらは今後の活動展開の参考になります。

これらの視察や調査を踏まえて、現地事務所では早速取り組みを開始しています。例えば、現地の食料事情の実態から不足する栄養素を摂取すべく加工食品を導入する計画、乳幼児健診で調理講習の成果物販売に向けた打ち合わせ、ラジオ番組の製作を目指した地域のFM局との検討などがあります。今回賜った知見を元に、活動をより効果的なものに展開できて行けたらと思います。