山梨県立大学スタディツアー

2019年2月10日~16日に、ISAPHラオス事務所にて山梨県立大学のスタディツアーの受け入れをいたしました。参加された方から感想文を頂戴しましたのでご紹介いたします。

ISAPH 事務局

ISAPHの活動を通して見たラオスの現状 

今回、ラオスのスタディーツアーに参加することによって現地でしか味わえない学びを多くすることができた。

ただ病院で待っているだけでは対処療法にしかならないため、村での生活のなかの問題点を明確化し改善していく必要があること、アウトリーチを行うことによって住民の生活のアセスメントをし、何が原因なのかという部分に介入することが大切なのだとわかった。また、途上国への支援と言うものは「物とお金を与えればよい」などという簡単なものではなく、現地の人たちが医療を理解し、受け入れられるようにすることが重要であると学んだ。アウトリーチは村の人たちに健康教育することももちろんだが、それと同時に病院でどんなことをしているのか住民に理解してもらえる機会になっていると知り、感動した。病院に行っても何をされるのかわからないという恐怖感をなくすことによって、病院に行きやすくすることが必要なのだと分かった。

また、ラオス人特有の今日を生きられているから幸せという考え方や、モッカオやユーファイなど伝統的に残っている習慣などがあるため、それも理解したうえでどう保健支援をしていくのか考えていかなければならないのだと改めて感じた。ISAPHさんから学ぶ中で、大事だと思ったことは草の根レベルの地道な努力で住民や保健ボランティアの方々など現地の人との信頼関係を築いていくことだと思った。その土地のことを知り、受け入れてからではないと共に向上していくことは難しいのだと考えた。

とても大切なことをISAPHさんとの関りの中で学ぶことができた。貴重な体験をありがとうございました。

山梨県立大学看護学部 岡 恵梨菜

ISAPHの活動の実際についての感想と学び

私はこの研修に参加したことで、初めて海外の医療状況と国際支援について知りました。村でのアウトリーチ活動の際に、ISAPHの方々が村の住民と一つとなって活動されている姿が印象強く残っています。文化や価値観などが異なる中で、相手を理解して尊重し、協力し合い活動することの大切さを知りました。

また私は、この研修で私たちが行った村での健康指導も大きく心に残っています。初めて訪れたラオスの村で、言葉も文化も異なる人々に向けて健康指導をすることは難しかったですが、住民の皆さんに内容を理解していただくことができ大きな達成感を得ました。そして良い経験をさせていただいたと思います。私たちとしては十分な活動ができたと思う一方で、もっと住民のことを理解し寄り添った活動もできたのではないかとも感じました。

国によって生活環境や経済など、多くの違いがあります。日本で暮らしている私たちが良いと思っている考えはラオスの人々にとっても良いと考えていただけるものであったのか。何が対象者にとって適切であるのか。そもそも「適切」とは何なのか。様々な疑問が浮かびましたが、私にはまだ答えが見つかりませんでした。これから看護を学ぶ中で答えを見出していきたいと思います。

最後に私はこの研修で、健康には様々な考えがあることや医療は経済や教育、インフラなど様々な要因が絡みあっていることを知りました。そして様々な目線をもって対象者のことや健康、医療、看護を考えていくことの大切さを学びました。ラオスで様々な経験をしたことで視野が広がり、看護への考え方も変わったと思います。私にとって一番の学びでした。このような学習と経験をさせていただき、ありがとうございました。

山梨県立大学看護学部 小笠原 麻莉

多くの力の必要性 

今回ISAPHスタディツアーに参加し、ISAPHラオス事務所でお話を聞いたり、村での保健ボランティアの方々の活動を視察したり、実際に村の方々に保健指導を行わせていただいたりしました。

これらの活動を通して私が最も感じたのは、ラオスなどの発展途上国を支援していくためには多くの力が必要であるということです。実際のラオス国は私が想像しているより都市部は発展しており、多くの物資が揃っているという印象を受けました。しかし、農村部では駄菓子屋はあっても新鮮な食材など栄養を十分に得ることのできるものが売られていないという現状でした。また、雨季の影響で道はぼこぼこであり、体調の悪い人や妊婦が、長時間かけて都市部に買い物や高度な医療を受けに行くのは大変なものであるとも感じました。健康の改善をしていくためには、栄養バランスのとれた食事をしてもらったり、医療・看護の質を上げたりしていくことが必要ですが農村部では生活環境からそれが難しく、我々学生が一度栄養指導を行ったのみでは解決することができないことであると学びました。だからこそISAPHの方々が行っている村に赴いての母子健康診査や予防接種や看護・医療の視点だけではない食用昆虫などの専門家などの様々な視点でのアプローチがとても重要となっていることを実感することができました。そして、今回の国際保健医療演習での体験・学びを多くの人に知ってもらえるよう情報発信を行い、その学びを生かして今我々に何ができるのかを看護学部内でなく広く視野をもち、多くの他学部の学生などとそれぞれの専門性を生かして考えていくことが必要であると感じました。

今回の学びを活かし、看護という道を歩みながらも多くの人々との出会いというものを大切にし、それぞれの人々ときちんと向き合い、自身から歩み寄って次につながる関係を作れたらと感じます。私自身の将来にもつながる貴重な体験をさせていただき、本当にありがとうございました。

山梨県立大学看護学部  佐藤 舞波

農村部の住居

農村部で売られている食材

現地に行って分かったこと

研修にてラオスの文化・風習、考え方を知ったことで、多くの場面で「当たり前」とは何かを考えさせられました。

一番印象に残っているのは「モッカオ」という赤ちゃんにもち米を与える風習です。この風習がラオスにあることは、講義にて把握していました。しかし、実際に「モッカオ」を行い赤ちゃんが嘔吐し入院していた母子に会ったことから、文化・風習の根強さをより実感しました。私たち日本人からすれば、赤ちゃんにもち米を与える考え方は論外です。しかし、ラオス人からすると風習であるため、もち米を与えることが当たり前という認識でした。このことから、自分や日本の当たり前がラオスの当たり前だとは限らないことを実感し、理解しました。

また、国際協力は互いが対等な関係を築くことが大切だと聞きました。それには自分たちの国や自分の中の当たり前が正しいと過信せず、押し付けないことが重要だと考えました。そのためにも、まずはその地域の文化・風習、考え方等を受容し理解することからはじめていくことが必要だと感じました。また、看護の対象は「あらゆる年代の個人、家族、集団」です。この「あらゆる」には、日本人だけでなくあらゆる人種・民族も含まれます。今後日本で外国人の数が増え、医療機関を利用する外国人も増えた時、受容・理解することは日本での看護でも大切な考え方だと思います。看護の対象者の生まれ育った地域やそこの歴史、文化・風習、考え方を受け入れ、尊重した上で看護を実践することは、個別性の尊重に繋がると考えたからです。

ISAPHの活動を見せていただいたことは、私にとって初めて国際協力や医療・看護に触れた機会であり、見たものや聞いたこと全てが刺激となり、自分の知識や考えを深める機会にもなりました。

研修で学んだことを国際協力にはもちろん、日本の看護にも生かしていきたいです。貴重な体験をさせていただきありがとうございました。

山梨県立大学看護学部 橋本 伊代

ISAPHの活動を視察しての学び

今回ISAPHの活動を視察させていただく中で一番の学びは、草の根レベルの支援を長期的に続けることの重要性と難しさだ。

活動の一端として村での出張母子健診の様子を視察させてもらったが、その時の「村で健診をすることが目的ではない。村で健診を受けて“こんなに安心できるんだ”と理解してもらい、“病院で受診すること・病院で出産すること”をみんなが行えるようにすることが本当の目的であって、健診は方法に過ぎない」と教えていただいた言葉を、今でも考え続けている。

日本では母子健診を受けることも、病院で出産することも当たり前になった。しかし、ラオスではインフラや経済的事情など様々な理由により病院出産は一般的ではない。だが、安全に出産を行うためには病院で出産することが望ましい。

病院出産がラオスの人々の意識にのぼるようにするために、医療の分野としてできるアプローチが「医療の信頼を高める・安心を実感してもらう」ことであり、そのために「出張健診」を行う。出張健診が定着することが支援のゴールのように考えていた私には、活動の全貌を理解した時になんて壮大な計画だろうと感じた。

しかし、医療の分野だけのアプローチでは解決できないことが多い。インフラや経済、宗教観、風習・文化など、様々なことが絡み合っているためだ。だからこそ、様々な分野の専門家が手を取り合い、支援者と現地の方が手を取り合うことが重要になるということを強く感じることができた。

今回の経験をもとに、今自分にできることを明確にし、今できることを実践したいと思った。また自分の興味ある分野を密に学習し、専門性をもって看護の対象に還元できるようになりたいと考えられるようになった。

山梨県立大学看護学部 山岸 優花

ISAPHラオス事務所の活動視察を通した学びと感想

スタディーツアーのアウトリーチ活動見学の中で、私たちは村の方々との交流の機会を頂きました。栄養不良が問題となっていることから、赤・黄・緑に分類できる食材を毎食取り入れてバランスの良い食事を心がけるように村のお母さんと子どもに伝えました。しかし、私たちが事前に調べたラオスの生活と現状とにギャップがありました。特に、村では生鮮食品は売られておらず、インスタント麺やお菓子が売られており、それらが子どもの栄養不良の要因の一つとなっていました。事前に情報を得ていれば保健学習の中でお菓子やインスタント麺についても触れることができ、もっと村の人々の生活にあった保健学習ができたのではないかと思い、情報収集とアセスメントの重要さを実感しました。

またISAPHさんの活動の一つに食用昆虫養殖事業があります。昆虫食になじみがない私にとって衝撃的な事業でしたが、昆虫を養殖することで栄養改善と住民の収入アップに期待ができ、健康のためにお金を使う余裕もでてきます。これをISAPHさんはラオスの現状からアセスメントし、現在は食用昆虫の専門家の方と一緒に昆虫養殖の普及を進めています。栄養改善に対するこの介入方法はとても画期的で、考えかた次第で一つの問題に対して様々な介入方法を見いだせるということに感銘を受けました。

様々なことに関心を持ち、広い視野で考えることが大切であると学びましたが、スタディーツアーに参加し、自分でみて、経験して、考えたこと自体が、自分の視野を広げる良い経験となりました。帰国してからラオスのことが気になるので、これからもラオスやISAPHさんの活動を追っていきたいです。貴重な経験をさせていただき、ありがとうございました。

山梨県立大学看護学部 山之下 詩乃

日が持たないため生鮮食品はなく、
賞味期限が比較的長いお菓子が売られている

ISAPHでの学びを通して

栄養指導の原稿作成では、村の人たちは何を食べているのか、そもそも3食食べるのかなど分からないことばかりで行き詰まることも多かった。佐藤さんをはじめ、ISAPHさんの協力なしでは栄養指導を完成させることは不可能であった。さらに、食品群の説明で具体的な食べ物をあげるさいに、タガメやサワガニ、タマリンドウなどラオスの食べ物を現地の看護学生に教えてもらったり、赤、黄、緑の説明のとき、どんなジェスチャーが良いかアドバイスをもらったりと多くの人の力をかりた。健康教育はただ一方的に指導するだけでは、聞いている方もつまらないと感じてしまう。また、期待する成果も得にくいと私は考える。今回、住民参加型でクイズをやったりしたが、住民に近づいていくことで信頼関係の構築や本当に必要な支援の提供にもつながると気づいた。

村にはスマートフォンを持っている人も比較的多かったり、子どもはお菓子を握っていたりとどこか違和感を覚える場面が多々あった。もっと有意義なお金の使い方ができるのではとお金の使い道に疑問を感じてしまった。どこにお金を使うかは個人の価値観もあるが、ラオスの国民性としてお金に対する価値観は日本と違うということを聞いた。

こういった価値観や文化は、自分の出身国とは絶対に違う。だからこそ、問題に対する介入やアプローチはとても難しいのだと理解した。そして、文化や価値観は変化していくものである。だから、国際協力において、こういったことを考慮しながら制度や方法を創り上げていかなければならない。やはり、現地の人たちが受け入れられなければ、始まらない。また、現地の人と一緒に活動しなければ、持続性や成果は望めないので、信頼関係を勝ち取っていくためにも、その国の文化や価値観を学ぶことは重要であると私は考える。

山梨県立大学看護学部 山本 里咲

ISAPHの活動見学と村での栄養指導実施を通して学んだこと

今回、ISAPHの活動見学と村での栄養指導を通して、草の根レベルでの国際協力を行っていくためには健康状態だけでなく、その国で住んでいる人々の歴史や文化、価値観や生活スタイル、交通事情など多くの背景を考慮しなければならないことを学ぶことができました。ラオスの健康状態を改善・向上していくためには日本人が思う当たり前をそのまま伝えたり環境を改善したりするのではなく、ラオスの人々にとってどのような状態になるのがベストなのかラオス独自での基準を十分に考えた上で活動していくことが人々に寄り添う支援になるのだと強く感じました。また、ISAPHのスタッフの方と住民のコミュニケーションの様子を見ると、上下関係ではなく同じ目線に立って関わっていることが印象に残りました。支援する側・支援を受ける側が対等な立場になるからこそ信頼関係ができ、住民が望んでいる支援や先を見据えての支援にも繋がっていると感じました。

また、村での栄養指導では識字率が低い母親や妊婦にとってどのような媒体を使い、どのような方法で栄養の重要性を理解してもらえば良いのか準備の段階で悩むこともありましたが、想像だけでなく普段からどんなものを食べているのか、手に入りやすい食品、手に入りにくい食品は何かなど村での食事を具体的に考えたり、実際に村に足を運んで村で売っている食品や家庭の調理場など生活の様子を直接自分の目でみたりすることで、その村に合わせた、人々が理解しやすい健康教育につながっていくと実感しました。同時に、ISAPHの方々が村での訪問を大切にしている意味を実感することができました。

今回の学びは日本で行う看護に共通する部分も多いため、今後の学びに生かしていきたいと思います。現地で貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。

山梨県立大学看護学部 横田 楓

ISAPH

今回ISAPHラオス事務所や病院、村などを見学させていただいて特に印象的だったことは、村の様子でした。事前講義などで村の生活について聞く機会があり、ユーファイなどの独自の文化について学びました。しかし、実際に行ってみると事前に学んだことと異なる部分があり、短期間で様々なことが変化するということを実感したのと同時に、実際に現地に行かないと分からないこともたくさんあるのだと感じました。

また、村での保健指導では栄養が偏っている要因の中に、街から遠いため日持ちする野菜などが店に置けないということがあったことを現地に行って知りました。そして、現地の食文化に寄り添ったつもりでしたが、指導が終わって振り返ったときに、自分たちの価値観に当てはめた内容だったのではないか、という疑問もうまれました。

今回の研修を通して、草の根レベルの支援の必要性、文化の異なる人に寄り添うことの難しさなど、多くのことを体感することができました。自分の視野の狭さや、多くの価値観について知ることができたので、今後の学習等に生かしていきたいと思います。

貴重な機会をいただき、本当にありがとうございました。

山梨県立大学看護学部 渡部 紗季