2018/5/25

ラオス 村落保健委員会メンバーへの研修を実施

ISAPH LAOS 佐藤 優

一進一退を受け止めて、そばで支えていく

                              

村落保健委員会の話に耳を傾ける県保健局職員

「去年、習ったけど忘れちゃった」とボランティア。
定期的な支援の必要性を物語っている

各村の村落保健委員会の活動計画を
発表しているところ

「こんなとき、あなたならどうしますか?」
とメンバーの行動を確認している

 

ラオスは人口密度の低い国です。国土は日本の60%程ありますが、人口は5%程度しかありません。数百人規模の村(集落)が国中に点々と存在していて、保健医療サービスを効率的に届けることが非常に困難な状況にあります。そのような背景があり、国の政策として、各村には村落保健ボランティアをはじめとした村落保健委員会によって、住民の健康を守る役割(病院受診を促す活動等)を担っていくことが期待されています。しかしながら、残念なことに実際は村落保健委員会が効果的に機能していないことが報告されています。ISAPHが活動する村でも、母親が自宅で分娩して赤ちゃんが亡くなるケースが毎年発生しています。そのため、私たちの取り組みの一つには村落保健委員会の機能強化があり、彼らが住民の健康を支えていくことができるように、研修などを開催しています。

2018年5月には3回目となる研修を開催することができました。研修の目的は、村落保健委員会のメンバーが前向きに住民に対する健康づくり活動に取り組んでいくための心理的・能力的な支援をすることでした。ISAPHがサイブートン郡で活動を始めて2年が経過しますが、病院に行けば亡くならずに済んだかもしれない事例や予防可能な健康問題が後を絶ちません。未だ5割の母親が自宅で分娩していることや、子どもの4割が栄養状態に問題を抱えていること、その背景には、車がなく病院に行けない家族がいることや、6カ月未満の子どもに米を与えるなどの習慣が根強く残っていることなどがあります。村落保健委員会のメンバーは村長や保健ボランティアで構成されており、車を持っている人も少なくありません。彼らがもし、率先して助け合うことができれば、今よりもさらに住民が病院に行きやすくなります。もちろん、住民一人ひとりの問題もあります。村落保健委員会が病院出産を勧めても、子どもは家でも産めるから病院にいくのは面倒だ・恥ずかしいと拒否する家族がいます。農作業や家事で忙しいからと、子どもの栄養まで気を配る余裕のない家族がいます。このような状況もあり、村落保健委員会のメンバーのやる気は、いつも一進一退を繰り返しています。

ISAPHとラオス保健行政の職員の役割は、この一進一退をきちんと受け止めて、彼らの思いを汲み取っていくことだと考えています。彼らが「活動してもいいことがない。辛い」と思っているのであれば、彼らの活動がどのように住民の健康につながっているか見せるようにしています。また「どうやっていいか分からない」と思っていれば、一緒にアイデアを考えます。この度の研修では、彼らの気持ちを理解し、活動へのやる気が途切れないように、必要な情報を分かりやすく伝え、彼らの考え・意見を聞く時間を設けました。研修の最後には、これから1年間それぞれの村で、メンバーがどのような役割を担っていくか具体的な活動計画を立てることができました。

まだまだ解決すべき課題は多いですが、村落保健委員会のメンバーが住民の健康のカギを握っているのは確かです。ISAPHはこれからも彼らと寄り添いながら活動を続けていきたいと思っています。