2018/4/13

村のリボルビングファンド支援

ISAPH LAOS 木村 江里子

                              


「融資を受けたい人?」との問いかけに、
元気よく手を上げる女性たち

熱心にワークショップに参加する
基金の委員会メンバー

 

ISAPHラオス事務所では、サイブートン郡の村民へのアウトリーチ活動(出張保健サービス)を通して、乳幼児の発育状況のモニタリングや健康教育の実施、施設分娩の推進などの支援をしてきました。しかし、村での簡易聞き取り調査の結果、それ以外にも母子保健の向上を阻害する大きな要因があることが分かってきました。

特に問題となっているのが、現金収入の不足によって緊急時に治療費・交通費が払えないため病院に行けないことと、健康教育により実際の行動を変えたいと思っても、元手がないということ(例えば、子どもに良質なたんぱく質を食べさせたくても、肉を買うお金がないなど)です。

このような問題を改善させるために外部の組織が一方的に支援を行っても、それは一過性のものとなります。そのため、村が独自に緊急搬送や生計向上のためのシステムを持ち、それを運営・管理できるよう、ISAPHラオス事務所は支援を開始しました。

ISAPHが活動している3村は、過去に生計向上支援の資金援助を受けたことがあり、村には原資が存在していましたが、委員会の能力不足などからその原資がうまく活用されていない状況でした。ISAPHの対象村の一つであるパーコーン村は、村内に平行して動いている5つのシステムが存在し、それらがうまく機能していませんでしたが、村の委員会メンバーの生計向上支援に対する意欲や村長のリーダーシップが認められたため、生計向上支援の対象村として選定しました。こちらが新たなシステムを押し付けるのではなく、村人が新しいシステムの有効性・効率性を十分に理解し、彼ら自身が決断し、システムを構築していく方法で進めているため大変時間がかかりますが、このプロセスが村民にとって重要であると考えています。

幾度にもわたるワークショップの結果、新システムは緊急搬送基金と小規模融資(リボルビングファンド)の2つに分けて管理することにし、その2つの基金をまとめて家族開発基金という名称にすることが決定しました。今回の支援におけるリボルビングファンドとは、限られた原資を各世帯に貸し付け、一定期間で利子をつけて返済してもらう仕組みのことを言い、これがうまく機能すれば原資は継続的に増加し、各世帯と村における生計の向上が見込まれます。

ただ、これまでの方法ではうまく行かないことが明らかであったため、新システムでは女性がグループを作り、負債が出た場合にはグループ内で相殺するシステムにしました。一般的に女性は家族の健康・教育への支出を重視する傾向にあり、ラオスでは家計を管理しているのは女性ですので、今後女性の活躍に大いに期待しています。

しかし支援を進めるにあたって、課題は山積みです。これまでかなりの時間をかけてワークショップやトレーニングを実施してきましたが、村の委員会メンバーや村民の財務管理の能力が驚くほど低いため、手取り足取りの手厚い支援が必要になります。さらにパーコーン村には、過去の支援による負の遺産である負債が多く残っており、その回収を進めながら新システムを稼働していくのは、かなり時間と労力のいる作業です。

しかし、この基金に大きな期待を寄せている村民のためにも、ISAPHとして負債回収の側方支援を行いながら、まず新基金の中でも特に保健医療分野に直結する緊急搬送基金を早急に稼働させたいと考えています。そして、夏の田植えの時期までには負債回収の目途を付け、新リボルビングファンドを実施できるよう、今後も精力的に活動を進めていく予定です。