2018/4/13

農村部に保健ワーカーをスタンバイさせるための施策

ISAPH 事務局 村井 俊康

                              

建設中の建物を視察

建物が完成し笑顔を見せる保健ワーカー

引き渡し式典の様子

 

2017年、マラウイ国においてISAPHは現地保健ワーカーの活動拠点(兼住居)の建設支援事業を開始しました。同年に予定していたチャンジョブ・ヘルスポストとカウンディ・ヘルスポストを担当する保健ワーカーの活動拠点2軒が完成し、私はその引き渡し式典に招待され出席しました。

医師・看護師等の医療従事者が不足する中、マラウイにおいて国による保健サービスを住民まで届ける役割を担うのは政府雇用の保健ワーカーです。ISAPHは同国農村部において母子の栄養問題に取り組んでいますが、その際、同ワーカーと協働しています。

しかし、問題があります。日照りの中、土埃の中、また雨の中、保健ワーカーは5km程度、時には10km超の未舗装路を自転車もしくは徒歩で自らの担当村まで通いますが、負担の大きいこの移動が保健ワーカーの村内での活動を大きく制限しています。なぜ、5km、10kmを通わなくてはいけなくなるのか。その理由は自らの担当村内に安定的な住居が存在しないためです。

保健ワーカーが自らの担当村内に安定的に居住(スタンバイ)できるようにすることで現地保健サービスの向上並びに健康増進活動の強化を図ることが、この事業の狙いです。

同建物の建設により、保健ワーカーの業務である各種感染症対策・公衆衛生教育等の疾病対策に加えて、疾病の初期診断治療・病院への紹介機能が強化されます。保健ワーカーが各々の担当村内にスタンバイする事の意義に関しては、例えば、脱水症状を起こして搬送されてきた一歳未満児に対してその場で経口補水液及び亜鉛を与えた上で保健センターへ適切に紹介し当該児を救った事例等が報告されており、今後も同様の事例を増やすことが可能です。また、ISAPHは母子の栄養改善活動においてこれまでも現地保健ワーカーと協働しており、この事業との相乗効果により母子の栄養状態改善を狙うことが可能です。

同建物は現地コミュニティーとの協働の下に建設しています。コミュニティーがレンガを焼いて積み上げるところまでを終了させるのが先であり、それを確認した後、屋根・床・壁といった建材の調達をISAPHが支援することで建物を完成させます。完成した建物は現地コミュニティーの所有物となります。このような条件付きの支援は、現地住民のオーナーシップを高めるとともに建物の建築費用を抑えることにも役立っています。日本からマラウイへの職員派遣費用を除けば概ね15万円程度あれば1軒を建てる事ができるよう、ISAPHでも努力をしています。

2017年に完成しました2棟につきまして、チャンジョブはNGO団体のiサイクル様、そしてカウンディは同じくNGO団体のONE by ONE様より資金の提供をいただきました。この場をお借りし、お礼を申し上げます。

また、テルモ生命科学芸術財団様から助成金を頂戴し、2018年4月からの1年間で新たに5棟を建築します。今回、同建物5棟を建築すると直接的な裨益人口はおよそ6500名程度、うち5歳未満児が1200名程度になります。

2017年12月に行われた引き渡し式典では、地域の村長を束ねる立場にある村長も出席し、本事業に対する期待の大きさを伺うことができました。現地の人が喜ぶ様子や現地の人々による気持ちのこもった歌や踊りはこちらとしても大変励みになります。少しずつでも確実に進めていくことができればと考えています。