2018/4/13

AINプログラム:保健医療職の努力や工夫は海を越えて

ISAPH LAOS 佐藤 優

                              

小郡市総合保健福祉センターの皆さまと一緒に

保健指導における工夫を学ぶ研修員たち

分娩室の見学

 

ISAPHラオス事務所では、ラオスの農村部で母子保健の向上に取り組んでいます。物やお金を与えるのではなく、村人が自分たちの力で母と子の健康を支えることができるように、そして保健行政・病院はより良い保健医療サービスが提供できるように支援を展開しています。例えば、「村落栄養ボランティア(VNV: Village Nutrition Volunteer)育成事業」は、食事・栄養の問題解決を村人の力でできるように、正しい知識・技術をもったボランティアを育成し、その活動を支援する取り組みです。また、「郡病院母子保健サービス向上支援」は、病院の5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)活動を通して、病院内で起こるミスを減らし、効率化し、患者さんが気持ちよくサービスを受けるための取り組みです。実は、このどちらの取り組みも、日本で今も実際に行われている活動だと、みなさんはご存じですか?

ISAPHではラオス人を日本に招聘して、日本の保健医療サービスに触れることで、ラオスの保健医療の向上に還元することを目的とした本邦研修を実施しています。今年はAINプログラムのご支援により3名のラオス人を招き、市町村の保健サービス、私立病院の病院管理について研修を実施しました。まず市町村の保健サービスについては、福岡県小郡市総合保健福祉センター「あすてらす」で、小郡市の保健師・栄養士といった専門職の方から事業の説明をしていただき、食生活改善推進員(通称:ヘルスメイト)のボランティア活動を見学しました。ラオス人たちは「ボランティアが自分たちで住民へ健康教育をしているのか」と、40年以上も歴史がある食生活改善推進員の活動に驚きを隠せない様子でした。しかし、それらの活動が行政による支援を受けていることを知り、住民と行政が一緒に健康づくりをしているという日本の形を学ぶことができたようでした。さらに、今年も名古屋公衆医学研究所にご協力いただき、愛知県豊橋市で特定健康診査を見学しました。そこでは保健師より、住民の行動変容を促すために、どのように保健指導を工夫しているかなどのお話を伺いました。

福岡県久留米市の聖マリア病院では、医療の質管理本部の取り組みの一つである「5S推進会」を見学し、医療機器や治療に必要な物品を正しく整えることが、どのように患者の命を助け、医療サービスの向上に繋がるか、ラオスの現状と照らし合わせながら解説していただきました。さらに、昨年に続いて聖マリア学院大学において「ラオスの文化と保健医療」というテーマで講義を行う機会をいただき、ラオスがどのような保健課題に取り組んでいるか学生たちに紹介することができました。

今回の研修で強調したことは、ラオスの保健医療は日本と比べて遅れているとか、サービスが悪いということを学びに来たのではなく、住民の健康を守り、患者へのサービスを向上させるには今どんなことができるか、そのアイデアを学んでほしいということでした。日本では、ラオスのように少数民族が多く、言葉が違うことで、保健医療サービスの提供が難しい状況に置かれたことはありません。他にも、国の特色からお互いに経験したことがない問題が沢山あります。ですから、保健医療に携わる専門職として、日本では健康づくりや保健医療サービスに関してどのような努力や工夫をしているのか、研修員がラオスに持ち返ることができるよう心掛けました。

ISAPHのラオスでの活動はまだまだ続きますが、今回の研修で様々な刺激を受けた3名を中心に、さらに活動が深く展開していけるようラオスの人々と共に取り組んで参ります。最後になりましたが、改めまして、この度の研修にご協力いただいた聖マリア病院、聖マリア学院大学、福岡県小郡市総合保健福祉センター、愛知県豊橋市保健センター、名古屋公衆医学研究所の皆様に、心からお礼を申し上げます。