2017/3/22

ラオス カウンターパート本邦研修を実施

ISAPH LAOS 佐藤 優 

日本の経験をラオスへ

多くの学生にラオスを紹介することができた
聖マリア学院大学での講義の様子

みやき町役場の皆様と

日本の栄養指導(健康教育)教材のフードモデル
について関心を示す研修員

健康診査機材の使用方法や結果の
読み取りについて学ぶ

日本はこの数十年の間に、世界でも類まれなる発展と成長を経験し、国民の健康水準を飛躍的に向上させることに成功したと言われています。例えば、母子保健分野における健康水準を示す指標である乳児死亡率(1,000人子どもが生まれた場合、1歳の誕生日を迎えず亡くなってしまう人数)は、1950年頃は60であったのに対し、2000年には3まで減少しています。今まさに成長しようとしている国にとって、日本の経験は沢山の可能性を秘めた実例として映ります。しかしながら、国が異なれば、文化・環境・国民性なども異なるため、必ずしも日本がしてきたようにすれば良いというわけではありません。その観点から、日本人の我々は、ラオスの実情を第一にしつつも、日本の経験をどうすれば活かすことができるか考え、現地の行政職員と共に保健医療の改善に努力しています。それでも、まだ限界はあります。私たちの経験から大切に思っていることを伝えても、実際に体験したわけではないラオス人にとっては、「実感」することが難しいという点が残っています。

このような背景があり、この度、ラオス人に向けて日本の保健医療に触れることを目的とした研修を実施しました。研修の内容には、母子保健を中心として日本の保健医療を「実感」してもらうため、病院見学や市町村保健師・母子保健ボランティアとの話し合い、健康診査現場見学を取り入れました。

まず、聖マリア病院では今の日本の妊産婦及び乳幼児がどのような制度・サービスによって守られているかを学びました。聖マリア学院大学では、講義の時間を与えていただき、研修員からラオスの生活・文化や保健医療について大学生へ紹介し、日本とラオスの交流を図ることができました。

市町村の母子保健活動として、佐賀県みやき町および福岡県久留米市にご協力をいただきました。みやき町役場では、母子保健を担当する保健師と母子保健推進員(ボランティア)が、どのように連携して地域の母親を支えているかを具体的に教えていただきました。久留米市役所からは、中核市として広域な視点から母子保健施策を整え、事業を実施し、評価していくなかで、どのような点に力を注いでいるかを解説していただきました。

最後に、成人の健康診査について、名古屋公衆医学研究所にご協力いただき、愛知県一宮市の職員健診を見学することができました。一般の健診項目や40歳以上の特定健康診査(メタボリックシンドロームに着目した健診)およびVDT(Visual Display Terminals)健診などの職業性疾病に関する健診などを見ることができ、健康状態の把握や病気の早期発見の重要性について解説していただきました。

これらの体験を通して、研修員らは日本の保健医療に初めて触れることができました。冒頭に述べたように、今回の研修で見たことや得られた学びが、ラオスの保健医療にそのまま還元できるとは限りません。しかし、アイデアとして取り入れて、できるところから変えていけるものもあります。例えば、みやき町では離乳食指導のためのフードモデル(食べ物の模型)も見学することができました。現在、私たちのプロジェクトでも子どもの食事・栄養状態を改善するため、何をどのように住民に伝えていけば良いか話し合われているところです。研修員2名からは、このフードモデルのように「何を」「どのくらい」食べれば良いかを具体的に見せることができれば、住民にとって分かりやすい健康教育ができるのではないか、という「実感」から得られた意見を研修後に聞くことができました。

最後になりましたが、初めての日本の寒さに戸惑いながらも、積極的に研修に取り組んでいただいたカムパナーワン医師(ISAPH県保健局カウンターパート)及びソンブン医師(サイブートン郡保健局長)、そしてこの研修を企画・実施するにあたり、多大なるご協力をいただいた聖マリア病院、聖マリア学院大学、佐賀県みやき町役場、福岡県久留米市役所、名古屋公衆医学研究所の皆様に心からお礼を申し上げます。