2016/3/28

マラウイ「子どもにやさしい地域保健プロジェクト」の進捗について

ISAPH Malawi 村井 俊康 

家庭訪問を行うためにはこのような橋を渡ることもあります


低栄養児の治療プログラムへ対する今回の緊急支援において
支援を受けた児と両親(3人が暮らす家の前で)


皆様、こんにちは。マラウイ国より、今年2016年5月の終了へ向けてラストスパートをかけている「子どもにやさしい地域保健プロジェクト」の進捗についてご報告をさせていただきます。今回の報告では、成長モニタリング(Growth Monitoring:以下GM)及び急性低栄養児の治療プログラムといった単語が登場します。

まず、GMとは定期的に対象児の身体計測を行うことで児の成長をモニタリングするものです。当プロジェクトでは当該活動へ対する技術的な支援に加えて、当地ヘルスワーカーの人員不足を補うためにボランティアを育成しています。また、GMにおいて対象児個々の身体計測値を記録し続けています。

今回、我々はGMに一度も参加していない児に対する追跡調査を実施しました(2015年12月)。調査に先立ち、まずは当該調査の対象となる児を抽出する必要がありました。当時、すでに登録データ数が950名を超えていましたので、数が多いという問題に対しては新しくプログラムを書いて対象児個々の参加回数を数え上げることで対応しました。

同調査では家庭訪問を実施しました。当初、GMへ来ないのは距離が問題となっているのかとも予想していたのですが、今回の調査を実施した限りにおいてはそうでもなかったようです。挙げられた理由としては「養育者が家事など他の事で忙しかった」「養育者が病気だった」等。引き続き、GMの重要性についての啓発活動等を継続したいと思います。また、両親の出稼ぎ若しくは離婚といった理由により対象児が村の外へ移動しているという例も見られ、対象児個々を一対一で追跡する難しさも痛感しました。何れにせよ、家庭訪問により対象児の生活の様子を垣間見ることは非常に大切だと感じましたし、プロジェクトが活動を継続する上での力にもなってくれると感じました。

さて、実際のところ、GMが直接的に栄養改善に寄与するのかといえば、そのようなことはありません。直接的には寄与しない。では、国としてもなぜ継続するのか。養育者へ対する児の成長についてのフィードバック及び健康教育も然ることながら、GMを継続する大きな意義は、必要な児を、国が実施している急性低栄養児の治療プログラムへと拾い上げることにあります。

しかし、2015年11月になり、このままでは当該治療プログラムが上手く機能しないという事態が発生しました。エディンゲニヘルスセンターでは同プログラムで使用される治療食が在庫切れを起こし、その後も供給の見通しが立たない状態でした。そこで、ISAPHとしても国際連合世界食糧計画(WFP)及びムジンバサウス県保健局との協働のもと同ヘルスセンターへ対して治療食(栄養補助食)の緊急支援を実施しました。この支援についてはJICA青年海外協力隊員から情報をいただきつつ、必要な資金についてはONE by ONE様から頂戴しました。ありがとうございました。

近頃、GMへの参加率が80%を超えた村が出ました。80%というのは一つの目標でした。過去には「達成できない」という言葉を繰り返したプロジェクト関係者もいました。しかし、我々は達成しました。対象人口の少ない村での出来事ではありますが、一つの村でも参加率80%を達成したということはプロジェクトにとっては大きな意味があります。何よりも、今まではできなかった事ができるようになったのですから。