マラウイ「子どもにやさしい地域保健プロジェクト」カウンターパート研修報告

2014年9月17日から25日までの9日間、マラウイ子どもにやさしい地域保健プロジェクト(以下、プロジェクト)のカウンターパート(C/P)である保健省予防保健局IMCI(Integrated Management of Childhood Illness)課長Mr. Nsonaとムジンバ県保健局長兼県病院長Dr. Mbeweを招聘し、日本の乳幼児の健康診査と栄養摂取にかかる研修(講演、講義、視察)を実施しました。

C/Pの来日に合わせ国際協力セミナーが開催され、Mr. Nsonaには「マラウイの子どもの保健政策とその課題」と題してマラウイ国の栄養失調児の状況と乳幼児の栄養にかかる政策について、また Dr. Mbeweには「地方における県保健局の役割」と題して県立病院の紹介と県内での乳幼児の栄養失調の発生状況ならびに急性栄養失調児の対応について講演をお願いしました。各25分の講演時間でしたが、Mr. Nsonaはマラウイの典型的な公務員で人前に出て話す機会があれば、何時間でも話をするようで、持ち時間のおおよそ倍の50分くらい話していました。参加者は外部からの方々を含め60名で、高校生1名の参加もありました。

聖マリア病院での研修は「手洗い啓発活動」と「病院における栄養管理」に関する講義を受け、またヘリポートを施設見学しました。地上70mの解放されたところに立つこと自体が初めてで、360度のパノラマを満喫していました。

視察では、熊本県芦北町の町立保健センターを訪れ、町で実施している母子保健事業(母子保健手帳の交付、妊婦健康診査、新米パパママ教室、乳幼児健康診査、離乳食教室など)を学び、またエプロン掛けで離乳食の調理実習をしました。離乳食の調理は初めてであり、砂糖や塩を入れないのかとの質問を何度もしていたところが、大変印象的でした。マラウイでは、離乳食として成人が食べる朝食(砂糖入り)を離乳期の児にも与えていることからこのような質問がありました。調理後の試食では、Mr. Nsonaも Dr. Mbeweも「バナナを潰しヨーグルトと混ぜたものは甘くて良いが、他は味がない」と感想を述べていました。離乳食に関し、保健ボランティアや母親だけでなく、C/Pに対しても調理実習が必要だと認識しました。また幼児食に関しても学ぶために町立の保育園を訪問しました。メニューを見て毎日調理内容を変えていることや、園で離乳食や幼児食を調理していることに関心を示し、質問をしていました。この園で調理された昼食を5歳の園児と共に頂きました。

芦北町では町役場の職員をはじめ、保育園の先生や園児からも大歓迎を受けました。町としては個別の研修は初めてとの事でしたが、落ち着いて研修が受けられる環境を提供していただき、C/Pも大変喜んでいました。この場をお借りして、芦北町の皆様に深くお礼を申し上げます。

国際協力セミナーで講演するMr. Nsona

芦北町保健センター 乳児の身長測定における注意点の確認

芦北町の保育園で園児とともに昼食

聖マリア病院国際事業部 山崎 裕章