ラオス出張報告

本年12月をもってラオス政府との第3期MOU(了解覚書)が終了致します。終了にあたり、第1期からこれまでの協力活動による成果の検証と今後の支援活動についてラオス関係者と協議を行い、次期の計画の方向性を定めることを主な目的として、聖マリア病院国際事業部部長でありISAPH理事の浦部大策先生とプロジェクト評価専門家の松葉剛先生にご同行いただき、8月9日より16日までラオスに出張しました。

これまで約10年もの間、カムアン県セバンファイ郡保健局を対象に母子保健の向上を目的とした技術協力を実施してきました。活動の主な成果として低体重児の減少やこれまで多発していた栄養障害による子どもの死亡の低減が確認され、ラオス保健省にも高く評価されてきました。開始当初はISAPH主導で活動を行っていましたが、現在ではセバンファイ郡保健局が主体となり、活動計画の作成から実施後の報告まで彼らが実施できるように育っており、当初の目的は達成されたと判断しています。今回の協議の焦点は、セバンファイ郡での活動を終了し、乳幼児の健康問題が多いカムアン県内の他の地域に活動地域を移すことについて、県保健局から承認を得ることです。セバンファイ郡内の3地区が対象でしたので、他の地域にも協力を拡大してほしいという意向はありましたが、郡保健局が住民への保健活動を独自で実施できるように成長した現状を説明し、協力終了に理解を得ました。しかしながら、新天地を探すための調査には十分な期間が必要であるという局長の意見や、いきなりセバンファイ郡保健局への支援を中止することでの活動の失速を懸念している感もあったため、浦部先生の案である第3期MOUの1年延長を提言し、郡保健局の活動の資金的なフォローを継続しながら、新規活動場所の調査を行うということで県保健局と合意に至った次第です。

その他には今年度の活動計画関連で、カシ地区の保健センター建設支援の作業確認、名古屋公衆医学研究所と合同で開催する寄生虫感染セミナー計画、そして医療機器支援のための現地調査について、県・郡保健局と打ち合わせを行い、カムアン県での協議を無事終了しました。また今回の課題でもあったこれまでの活動成果のとりまとめでは、松葉専門家のお力を借り、乳幼児の低体重児率および乳児死亡率などを疫学的にまとめていただき、有意差が示されたことも大きな収穫でした。

終盤では首都ビエンチャンでラオス保健省官房局長と外務省国際NGO課課長にこれまでの協議の内容を報告し、MOUの1年延長などに関し、諸手続きの迅速な対応を快くお約束いただきました。更に保健省官房局ナオブッタ局長からは、これまでの協力に対する謝辞に加え、ラオスではまだ乳幼児の栄養障害対策が遅れているので、ISAPHと聖マリア病院のプロジェクトの新天地での活躍にぜひ期待したいとお言葉を添えていただき、これまでの努力が報われた思いでした。

以上のように今回の訪問は無事当初の目的が達成できたと考えています。ラオス側との交渉では、利害も絡みデリケートな状況に陥ったこともありましたが、最終的には10年間に及ぶこれまでの協力活動の実績と両者の信頼関係によって全てが丸く収まったように思います。やはり国際協力のベースは相手側との信頼関係で成り立つものであることを痛感しました。これも現場で日夜努力している職員の皆さんのおかげです。ありがとうございます。

カムアン県保健局長トーラカン氏と協議を実施

プロジェクト関係者を招いての夕食会

保健省官房局長ナオブッタ氏を表敬訪問

ISAPH事務局 磯 東一郎