ラオスカウンターパートへの寄生虫対策活動報告

ラオス母子保健プロジェクトでは、腸管寄生虫感染率が対象地区全住民の30%以下となるよう村人自身により寄生虫感染予防対策が実施されることを目的として、2013年5月から2014年3月までパイロット地区を設定し①寄生虫に関する理解度調査、②腸管寄生虫感染状況調査、③駆虫剤投薬、④駆虫効果の検討、⑤衛生行動改善のための健康教育を主体とした寄生虫予防対策プロジェクトを実施しました。

今回、プロジェクト終了に伴い2014年3月25日にカムアン県セバンファイ郡にて、活動を通して得られた成果、問題点などの情報共有、寄生虫対策に関わる今後の活動の方向性の検討を行う会議をカウンターパートと共に実施しましたので報告致します。日本からは私と聖マリア病院国際事業部の浦部部長が参加しました。ラオス側からは保健省、カムアン県保健局・教育局、セバンファイ郡郡庁・保健局・教育局、対象地区となったシーブンフアン地区ブンフアナー村ドンサワン集落の村長や保健ボランティアそしてNPO法人じゃっど現地代表など約30名が参加しました。

会議では、ラオス国立公衆衛生研究所コンサップ所長からラオスの寄生虫対策と戦略についての発表と、昨年NPO法人じゃっどがセバンファイ郡内の小学校を対象として行った腸管寄生虫検査の結果を報告していただきました。その後、浦部部長から今回の寄生虫予防対策プロジェクトを開始するに至った経緯を話していただき、そして、私は特に今回のプロジェクトで得られた寄生虫感染状況や駆虫薬の効果、再感染の現状などを提示し活動成果や問題点、現行のラオス国家の寄生虫対策と現状のギャップ、そして今後の展開について報告を行いました。

【報告内容まとめ】

  • 対象集落では、住民の約70%がなんらかの寄生虫に感染しており、特に経皮・経口感染する鉤虫や淡水魚の生食によって感染するタイ肝吸虫の感染が目立った。
  • ラオス国で実施されている線虫症の駆虫薬であるメベンダゾールの単回投与では駆虫効果がみられない対象者がいたため、今後は投薬方法(投薬量・投薬回数)の検討をする必要がある。
  • 駆虫薬投与後、寄生虫卵陰性となった対象者の多く(50-60%)が5カ月後には鉤虫に感染していた。
  • 住民が理解しやすい方法で引き続き健康教育を継続的に行っていく必要がある。

県保健局長はじめ参加者の方々から今回の寄生虫予防対策プロジェクトを高く評価していただきました。現状として、寄生虫感染が高率に住民間でおこっていることが明らかとなったため、今後も引き続き寄生虫予防対策実施体制を強化する必要があるとラオス側と日本側が合意し会議は終了しました。

今回の会議を通じて、ISAPHおよびラオス側と寄生虫感染の現状について再確認と情報共有をすることができたため、今後は具体的な対策(健康教育方法・駆虫薬投与方法・感染予防対策)を検討し目的を達成できるような活動を行っていきたいと思っています。

最後になりましたが、今回の寄生虫感染予防対策プロジェクトを実施するにあたりご支援いただきました公益信託今井記念海外協力基金並びに聖マリア病院グループの関係者の皆さまに心からお礼を申し上げます。

楾プロジェクトマネージャーによる発表

楾プロジェクトマネージャーによる発表

参加者記念撮影

ISAPH LAOS 楾 清美